豊かなシルバー世代に同世代を養ってもらうべき
その反面、本当に社会的な支援が必要な高齢者に極端な犠牲を強いれば、最終的には安楽死や姥捨て山に繋がってしまう。よって今後の政策的方向性の一つとしては、年末の「アイアンシェフスペシャル」で81歳にして若者に勝利した道場六三郎氏のような“元気で十分豊かなシルバー世代”に若者と一緒に高齢者を支えてもらうことになるだろう。
たとえば、何十億資産がある人にも資産がゼロの人にも等しく20万円なりが支給されているのは、年金制度の“長生きすることの保険”というそもそもの目的を考えてもおかしい。もっと言えば孫正義氏や柳井氏は特に年金を受け取らなくても、今後相当な無駄遣いをしないかぎり困ることはないし、ご本人が年金を欲しいと思っているとは思えない。しかしそういう高所得者や資産家にも等しく年金が支払われ、制度が破綻の憂き目にあっているのだ。
今後は十分金銭に余裕があるか、現役と闘っても勝てるようなスーパー高齢者にも、一般の高齢者を支えてもらう方策が必要であろう。
といっても、豊かな高齢者は政治力も強く、そのような政策を今の自民党が断行できるとは思えない。これこそが以前のコラムで書いた、「自身の支持基盤である既得権益層に切り込んでこそ日本の改革ができるのであり、憲法改正で経済問題は何も解決しない」の一例である。
参院選前に株価や為替で一喜一憂するのではなく、これら自民党支持基盤の既得権益層に対する自民党の政策をリストアップして、広く共有し参院選で厳しく問うことが、株価や景気を錯覚ではなく持続的成長軌道にのせることにつながるだろう。
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