三菱重社長、三菱自への出資「安全な方に」 日産自動車傘下での再建に期待

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 6月23日、三菱重工業は株主総会を開いた。写真は同社の宮永俊一社長。都内で5月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)

[東京 23日 ロイター] - 三菱重工業<7011.T>は23日に株主総会を開いた。宮永俊一社長は、燃費データを偽装した三菱自動車<7211.T>に関連して相次いだ株主質問に「株主として不正行為は誠に遺憾」とした上で、三菱自が同じ車メーカーの日産自動車<7201.T>の傘下に入ることは「相乗効果がある」と指摘。結果として「三菱自の価値が高まり、(三菱重による)出資がより少しでも安全な方に行く。われわれの役割は少しずつ低くなるが、ある期間、ある程度は見守りたい」と述べ、株式保有を当面続ける方針を示した。

三菱重は現在、三菱自株式の20%を保有する筆頭株主だが、今秋には日産が第三者割当増資を通じて34%を取得し、三菱自の筆頭株主になる予定。日産出資後も三菱重などの三菱グループ3社は三菱自株式の保有を続けるが、出資比率は低下する。宮永社長は三菱自の社外取締役も務めており、立場的に意見することもあるが、今後の方針などは「三菱自が主体的に意思決定していくこと」と語った。

自動車業界では自動運転などの技術開発が進み、競争が激烈になっており、宮永社長は「昔に比べて事業や技術という面で三菱重はなかなか関与できないのは事実」とし、同社として「(自動車に関連する)さまざまな社会交通システム、統合的なシステムエンジニアリング(の領域)は伸ばしたいので、(三菱自を)サポートしていきたい」と語った。

一方、大型客船事業での度重なる建造遅れにより2016年3月期に多額の特別損失を計上したことに関して、宮永社長は「リスク対応力の強化が喫緊の課題」と指摘し、「CEO(最高経営責任者)直轄の全社リスクマネジメント体制を構築した」と述べた。

日立製作所<6501.T>と火力発電プラント事業を統合する前に、日立が受注した南アフリカでのプロジェクトに絡む約3790億円の損失負担をめぐって同社と対立している問題については、副社長時代に統合を実際に手掛けた宮永社長が経緯を説明。その上で「この問題を一緒に解くことが(統合会社の)さらなる飛躍につながると思う。万難を排して協力し合ってやっていく覚悟だ」と語り、株主の理解を求めた。

 

 

(白木真紀 編集:内田慎一)

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