三菱自動車が副社長に迎える日産顧問の横顔

秋には日産出身者が会長へ、新社長は誰に?

技術部門トップを日産から招致、開発体制を変えることはできるか(撮影:今井康一)

「これから活躍していただく新副社長を紹介する」

三菱自動車の益子修会長は、6月24日の株主総会後に就任する新副社長3人を記者の前でお披露目した。

目玉は日産自動車の元開発担当副社長で、取締役会技術顧問の山下光彦氏(63歳)だ。日産との資本業務提携が明らかになる前日の会見で、益子会長は「外からの目が入らない閉鎖的な企業風土を改革するには相当思い切ったことが必要だ」と覚悟を口にしていた。特に強く望んでいたのは開発部門の建て直しだった。

2000年代に2度にわたるリコール隠しが発覚した三菱自動車でなぜ今度は燃費測定に関する不正が行われたのか。こう問われた益子会長は「営業や品質管理には外部の血を入れて改善が進んでいたが、専門分野である開発には外部の血が入っていなかった」と、たこつぼ化した開発部門を不正の温床に挙げた。

悠々自適の2年から再び最前線へ

新体制で開発部門を率いる山下氏は37年間の日産でのキャリアの大半を開発部門で過ごした。日産の技術担当副社長を退いた現在は、日産の技術顧問の肩書きを持つ。第一線を退いた後、ここ2年間を悠々自適に過ごしていたところ、三菱自動車の燃費不正問題がきっかけとなってビジネスの前線へと舞い戻ることとなった。

「誰かが三菱自動車の開発担当を引き受けるとなれば、自分が候補に挙がることも予想できた」。三菱自動車の燃費改ざんが発覚した大型連休前の4月下旬、噂も相まって山下氏は自分に白羽の矢が立つことを感づいていた。

ゴーン社長から正式に申し入れがあったのは5月の連休明けだ。形の上ではリタイアしている山下氏に、ゴーン社長は「まだ現場で指揮を執る気はあるか」と意思を確かめるように打診した。

不祥事を繰り返した三菱自動車の改革を担うのは簡単ではない。山下氏は何度もゴーン社長と話し合い、悩んだ末に結論を出した。「日本の自動車産業のために自分が最後に何かお役に立てるのであれば」。山下氏の決断を後押ししたのは、1社の不祥事が日本の自動車産業全体の信頼を揺るがしかねないという危機感だった。

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