投資家が、安倍政権批判を始めるとき 円安、株高はどこかで終わる

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だから、その拡大解釈版として、インフレ率が高まることを促すことは、許容範囲だ(本来の解釈は、インフレターゲット2%と言った場合には、インフレ率を2%にすることが目標ではない。インフレ率が2%になるまでは、心置きなく金融緩和が許される、ということだ。だから、ターゲットは良いが、達成するための目標、しかも、最優先の目標、となるのはおかしいし、経済にはマイナスだ)。

2%のインフレ率実現は極めて困難

しかし、その目標が2%となると、これはかなり難しい。なぜなら、2%のインフレ率が現在の日本で実現することは、極めて困難であるからだ。仮に実現するシナリオがあるとすると、極端な円安による輸入インフレしか考えられず、その状態になった場合には、日本経済は極端に悪い状況となるからだ。経常収支は極端に悪化し、名目金利が上昇し、銀行は危機に陥り、財政が行き詰るというシナリオが予想される。

その最悪のシナリオが実現するには、円が100円を超えるような流れになる必要があり、実現はしないだろう。そうなると、インフレ率2%は、無理だ。日本でインフレ率が2%に近づいたのは、バブル期以降では、円安が140円台まで進んだ1997年の1.76%、原油が1バレル147ドルなど資源価格が急騰した2008年の1.38%しかない。だから、2%にはどうあがいてもならない。

この状況にどう対応するか。日銀としては、インフレターゲットを設定したとしても、それは1%~2%の範囲を目指すなど、レンジに余裕を持たせ、同時に、インフレ率だけが唯一の目標ではなく、経済全体の状況とのバランスを見ながら、という留保条件をつけることになるだろう(それが唯一の妥当な道だ)。

日銀としては、これは政治に圧力を受けたからではない。安倍次期総理から、検討を依頼されたことがきっかけではあるが、これまでの市場や国民との対話として考えると、説明不足による不十分な理解が存在していたのは事実だ。よって、誤解を解くために、日銀の政策スタンスをよりわかりやすいものにするために導入した。こういう説明をすることになるだろう。

こうした日銀の対応に対する、投資家の反応の予測は難しい。今の期待感から行くと、これでは物足りない。現状と本質的には変わらない、という解釈が可能だからだ。逆に言えば、だからこそ、日銀としても導入が可能なインフレターゲットなのだ。これは進むも地獄、戻るも地獄の世界だ。

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