投資家が政権批判を始めるリスクも
もし、インフレ率を2%とし、これを何が何でも実現する、となると、名目金利を無理やり上昇させ、極端な円安を進めるしかない。しかし、それでは国債暴落で、銀行危機、財政危機になってしまう。そうなると、ターゲットを設定しても、2%は実現できない、ということになる。このときに、日銀法改正が大きな意味を持ってくる。
2%を目指します、と宣言するのは良いが、これが2年たっても実現できない、実現できる見込みが立たないとなると、政治の側としては、問題視せざるを得ない。長期的にも2%が実現する見込みがない、となると、それは日銀の姿勢の問題だ、やる気がない、ということになる。
その場合は、日銀総裁を解任するという行為が必要になる。ところが、今の日銀法では、これはできない。そうなると、このような状況を回避するために、今、日銀法も改正しておくべきだ、という議論になる。
この議論は、13年1月の日銀の金融政策決定会合でインフレターゲットが導入されなければ、直ちに加速する。また、導入されたとしても、政治サイドから見て中途半端(妥当な金融政策を考える立場からは許容範囲ぎりぎり)のものになると、以下のような議論が力を持つことになるだろう。
つまり、やはり日銀を完全には信頼できない、将来の解雇を担保しておく必要がある、それは万が一のためだから、日銀が妥当な政策を取り続けた場合には問題にならないのだから、日銀法改正自体は問題はないはずだ、というものだ。
こうなると、投資家の反応は難しい。
現在は、日銀法改正に賛成というムードが、外資系ストラテジストを中心に広がっているが、これは、海外の日本経済の実態を理解していない日本株投資家の意向の圧力を受けて展開されている(それに迎合している)と私は見ているが、今後は、疑問を呈する投資家が増えてくると思われる。
なぜなら、もう少し、日本株が上昇し、円安も進めば、徐々に手じまう投資家が増えていくから、今の上昇モメンタムが何が何でも続いて欲しいという投資家の割合が低下していくからだ。そうなると、今度は下落方向で動かす方が、モメンタムの余地が大きくなり、チャンスが増えるとなり、反転に流れを作ろうとする投資家が増えてくる。
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