なぜ彼は、スタートアップの"神"となったか

米国で大ブレイク、リンクトイン創設者のキャリア論

フェイスブックとは対照的

アップルでの仕事の内容が自分に合っていないと感じた際には、もっとやりたかったソフトウェア開発部門のトップに面会を申し込んで、自分なりのプロジェクトの提案をいくつも出したという。

後述するが、彼がキャリアの道のりに関して並々ならぬ関心を持つのは、キャリアとは自分の考え方次第で、うまく開拓できるものと考えているからである。

アップル、富士通で合計数年を過ごした後、ホフマンはソーシャルネットという企業を共同創設する。1997年のことだ。これは、現在のソーシャルネットワーク・サイトを思わせるようなサービスで、当時ではまだ誰もその内容がうまく飲み込めないほど、先見の明のあるものだったという。

そうこうするうちに、知人から声がかかったのがペイパルでの仕事だった。支払いサービスのペイパルは、後にオークションサイトのイーベイに買収されるが、創設後すぐのペイパルは、当時はやっていたデバイスであるパーム・パイロット向けのサービスを行うことを目指していた。

そこから支払いサービスに落ち着くまで、ペイパルは10回近くもビジネスモデルを変更し続けた。その間、上級副社長からCOO(最高執行責任者)まで務め、舵取りの中心になったのがホフマンである。

ペイパルのイーベイへの売却で大きな資産を得たホフマンは、2002年にリンクトインを共同創設。同社を着実に発展させ、現在は会長職に就いている。

リンクトインは昨年IPOを果たしたが、フェイスブックが大騒ぎで行ったIPOの後で業績も株価も伸び悩んでいるのと比較して、同社の株価は上昇し続けて、大成功したIPOだ。リンクトインには、世間からの安定した信頼感があると言ってもいいだろう。

スタートアップと、キャリアの共通点

ホフマンは現在、ベンチャーキャピタルのグレイロックでパートナーも務め、個人のエンジェル投資家であると同時に、ベンチャーキャピタリストとしてもシリコンバレーのスタートアップ事情を熟知する存在だ。フェイスブックやフリッカーなどにも投資し、彼の資産は今や18億ドルに達するともいう。

その彼が記した『スタートアップ!』(原題は”The Start-up of You”=あなたというスタートアップ)は、自分のキャリアを推し進めていくことと、スタートアップを成功に導くこととの間には共通する点が多いとして、あらゆる仕事人に対して、スタートアップの経験で彼が学んだことを共有しようという内容だ。

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