「仕事が遅すぎる人」に共通する残念な考え方

すべての仕事は必ずやり直しになると心得よ

よくこういった話を、石膏の彫刻の例を出して説明することがあります。石膏を削って胸像を作るとき、いきなり眉毛の一本一本にこだわって細い彫刻刀を使う人はいません。そんなことをしても、後になって全体のバランスがおかしくなって失敗するだけです。普通はまず大きく輪郭を粗削りするところから始めます。つまりプロトタイプを作るとは、そういうことなのです。

仕事が終わらない人は「評価恐怖症」に陥っている

仕事が遅くて終わらない人が陥る心理として、「評価されるのが怖い」というものがあります。自分の仕事がどう評価されるのかが怖くて、できるだけ自分の中の100点に近づけようとしてブラッシュアップを繰り返します。しかしブラッシュアップすればするほど、もっと遠くに100点があるような気がして、いつまでたってもこのままじゃ提出できないという気持ちになります。そして、こうして時間をかければかけるほど、上司からはクオリティを期待されているような気がして、恐怖に拍車がかかります。

このループに陥る人の状態を「評価恐怖症」と言います。評価恐怖症にかかった人は、自分の中での100点満点を目指すあまり、本来なら終わる仕事も終わらなくなります。確かにそうして仕事が遅れてしまう心理はよくわかります。粘り強くいいものを作ろうとする気持ちも決して失ってはいけないと思います。そして、そうした気持ちこそが優れた製品やサービスを作るのだとも思っています。

しかし、「すべての仕事は必ずやり直しになる」くらいの覚悟が必要です。荒削りでもいいから早く全体像を見えるようにして、細かいことは後で直せばいいのです。そうした気持ちでいれば、評価恐怖症でいることも、あまり大したことではないとわかるはずです。あなたはプロトタイプを最速で作るべきなのであって、細かいところは後から詰めて考えればいいのです。

「仕事のスピードを追求したら質が落ちてしまう。それじゃダメだ」

そう思われている方もいると思います。たしかに速さを求めると質は落ちます。大抵の仕事がそうであるように、スピードと質はトレードオフ(片方を取るともう一方は取れない)です。質の悪いものを出さないようにじっくり時間をかけて、ときには徹夜で頑張る人もいるでしょう。

けれども質を追求した結果、締め切りに間に合わないような仕事の仕方をしていては本末転倒です。締め切りに間に合うことが明らかな状況であれば、質を高めるために時間を使うのは間違っていません。問題なのは、まだ仕事が終わる見通しも立ってもいないのに、質を高めるためにあれこれ工夫を凝らそうとすることです。

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