「仕事が遅すぎる人」に共通する残念な考え方 すべての仕事は必ずやり直しになると心得よ
みなさんが普段使っているスマートフォンのアプリを例に挙げて考えてみましょう。アプリは一度配信が開始されても、その後、幾度もアップデートを繰り返します。新しいアップデートの通知が何件もたまっていく光景を誰でも一度は見たことがあるはずです。あのアップデートはなぜ何回も繰り返し行われているのでしょうか? 答えは、配信が開始された段階では100%の完成度ではなかったからです。
「未完成品を売っているのか!」
そう思われたでしょうか? しかし想像してみてください。最初から100%の完成度のものを作るなんて、可能でしょうか? 大抵の仕事は、終わったときは満足していたとしても、時間が経つと修正したくなるものではないでしょうか?
あなたの仕事だってそういうことがあったはずです。あのミーティングの日、話が終わった直後はなかなかいい仕事をしたと思った。でも翌日、ミーティングの内容を報告書にまとめている最中に「あれ、これで大丈夫かな……」と不安になってしまうのです。ほかにもあのプレゼンの前日、リハーサルが終わったときには「これでいける!」と思ったことでしょう。けれどもプレゼン当日、たくさんの人の前で発表している最中にどんどん不安になっていきます。
仕事とはそういうものです。どんなに頑張って100%のものを作っても、振り返ればそれは100%ではなく90%や80%のものに見えてしまうのです。言い換えれば、100%のものは、そんなに簡単に作れるものではありません。だから世の中のアプリ開発者は、配信後も長い時間をかけてアップデートを繰り返し、少しでもいいものを提供できるように努力しています。
つまり最初から100%の仕事をしようとしても、ほぼ間違いなく徒労に終わるわけです。なぜなら後から再チェックすると、直すべき箇所が次々に見つかっていくからです。
3500個のバグがあっても、世界は変わる
「兵は拙速(せっそく)を尊(たっと)ぶ」という言葉があります。これは兵法書『孫子』から派生した言葉だと言われています(ただ、それを否定する説もあり、何の書物が正統な起源なのかは詳しくわかっていません)。この言葉は、一般には「拙(つた)ない戦法でも素早く進軍したほうが戦いに勝つ」という意味で浸透しています。転じて、「仕事は最初のうちに迅速に終わらせると良い」という意味にもなっています。
私は米マイクロソフト本社で「Windows95」の開発をしていました。マイクロソフトでは仕事ごとに必ず締め切りがあり、なおかつ製品( Windows95 )の発売予定日も決定していたので、決められた仕事は必ず期限内に終わらせる必要がありました。とにかくスピードが求められていたのです。
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