ジャンボ機にこだわる「ドイツの翼」の秘密 日本の顧客はプレミアム戦略でつかむ
昨2015年はルフトハンザにとって、明暗が共存する1年だった。全世界の旅客数は過去最多の1億770万人となり、搭乗率も過去最高の80.4%を記録。売上高は前年比6.8%増の320.5億ユーロ(約3兆8400億円)、利益面でもEBITDA(税・利払い前利益)は同7割増の16.7億ユーロ(約2000億円)と上々の着地となった。
だが、傘下のLCC「ジャーマンウィングス」(現・ユーロウィングス)で、深刻なうつ状態にあったパイロットが昨年3月に墜落事故を起こし、乗客150人の命を奪った。「ドイツの戦後史上、最悪の惨事だった。航空会社としての最優先は遺族のケアだった。そして、二度と同じことを起こさないようにすること。1社の話ではなく、業界として取り組まなければならない」(シュポア氏)。
安全確保こそ、航空会社の最重要事項
事故だけではない。11月にはルフトハンザ史上最長となる1週間のストライキが発生した。早期退職制度などをめぐって、客室乗務員が所属する労働組合「UFO」が起こしたものだ。
日独を結ぶ便でも、欠航に追い込まれるなどの影響が出た。シュポア氏は「かつてないほどの輸送規模にもかかわらず、会社の歴史上、最も多くの顧客を落胆させてしまった。この機会に日本の顧客に謝りたい」と話す。
客室乗務員とパイロットの組合とは、それぞれ打開策を見つけるべく協議中だという。
プレミアム戦略が功を奏し、好調を続けるルフトハンザだが、サービスに対する顧客の満足度を上げるには乗員1人1人の力が欠かせない。パイロットにしても、客室乗務員にしても、空の上で能力を発揮できる環境を整えるのが航空会社だ。墜落事故とストライキは、そんな当たり前だが、最も重要なことをルフトハンザに突き付けたと言えるだろう。
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