「第三極」を標榜する、という問題意識は、言うまでもなく1996年に予定されていた小選挙区制の導入に関わるものだ。
小選挙区制の導入によって二大政党制が実現することを、彼らは所与としていた。自民党、後の新進党という二大政党(二つの極)とは異なる自分たちの立場を、「第三極」という三つ目の選択肢として、有権者に示さなくてはならなかった、ということだ。
新勢力「第三極」は、二大政党制の副産物?
小選挙区制が導入され、もともと二大政党の一翼を担うと目された新進党が解党してからは、自民党と民主党による二大政党化の傾向が当然のように理解され、「第三極」という表現はほとんど使われなくなる。
公明党や社民党・共産党といった既存の政党が、二大政党への埋没を防ぐことを狙って「第三極」を掲げることはあったが、二大政党化が進行する勢いを止めるものではなかった。
現在の「第三極」は、その多くが新党の結成とセットで語られる。その走りとなったのは、2009年結成の、みんなの党であろう。自民党から民主党へと政権が交代する中で、いくつもの新党が出現した。それらの党は、自分たちは自民・民主両党とは異なる「第三極」である、という立場を標榜したのである。
「第三極」という自己規定は、興味深い。小選挙区制による二大政党化を所与のものとしつつ、二大政党との対抗関係の中で勢力を伸ばしていこうとする発想が見える。
そのための戦略は、政策的な特徴の強調である。以前の社民党であれば、保守的な二大政党に対する「社民・リベラル」であるし、みんなの党であれば現状維持的な二大政党に対する「改革」となる。その他に、二大政党とは異なる「保守」を標榜する政党も少なくない。
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