あらためて考える「第三極」とは何か?

2012年12月衆院選、なぜ地方政党が注目を集めたのか。

小選挙区制が二大政党化を促進?

「第三極」の議論の前提となっているのは、「小選挙区制が二大政党化を促進する」ということだ。

さらに言えば、「二大政党はしだいに政策を収斂させるから、そこに二大政党とは異なる政策的特徴を強調する『第三極』のアピールする余地がある」と理解されているのではないか。

しかし、国際的な比較研究を見ると、小選挙区制が二大政党化を促進するという傾向は明らかではない。確かにアメリカでは、小選挙区制の下で民主党と共和党という二大政党が圧倒的な存在感を誇っている。

だが、もともと二大政党制に分類されていたイギリスやカナダでも最近は多党化が進んでいる。極端なのはインドで、小選挙区制でありつつも、国会で議席を占める議員たちの所属政党は30以上を数える。

小選挙区制における多党化については、政治学者のプラディープ・チバーとケン・コールマンが、興味深い指摘をしている。

地域ごとの「二大政党」が国の議会の二大政党と一致するとはかぎらない。

まず、小選挙区制の影響を受け、個別の選挙区ごとの候補者数は2人へと収斂していく。しかし、だからといって、議会全体までもが2党に収まるとは限らない。それを表現したのが図だ。

A国では議会全体でも選挙区でも二つの政党が対立している。対して、B国では選挙区で二つの政党が対立していても、議会全体では多くの政党が乱立することが示されている。

彼らによれば、B国のような状態になる要因として重要なのは地方政治の存在である。全国的な支持が広がらない政治勢力であっても、特定の地域で強い支持を受けていれば、その地域の代表として国の議会に議席を持つことは十分考えられる。

イギリスには、スコットランドのみで支持を広げるスコットランド国民党があるし、カナダでもケベック州を拠点とするブロック・ケベコワが連邦議会に多くの議席を持つことがある。インドでも、多くの地方政党が国会に議席を有する。

小選挙区制は、確かに候補者を2人に収斂させるという性質を持つ。だが、選挙区で唯一の代表を選出するという性質を伴っているため、その選挙区特有の利益を実現しようとする代表が選ばれるのも不思議ではないのだ。

次ページ「第三極(2012年版)」の特徴はなんだったのか?
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 不妊治療のリアル
  • 奨学金借りたら人生こうなった
  • ベテラン車両の肖像
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT