王毅外相は5月31日から6月4日までカナダを訪問しオタワで記者会見を行ったが、中国の人権状況について質問されて激高し、質問した記者を叱責するという一幕があった。6月2日付のワシントン・ポスト紙がそれを伝えている。
書き出しは「王毅は質問を嫌った」。異例の書き出しといえるだろう。続けて王毅外相の激高が伝わってくる発言「あなたの質問は中国に対する偏見と傲慢さに満ちている」「中国の人権状況は、ほかの国の人は中国人のようにはわからない」を紹介している。
王毅は記者に対して中国に行ったことがあるかと尋ねたうえで、次のようにたたみ掛けたという。「中国は6億人以上の人を貧困から救ったことを知っているか。中国は低いレベルから今や世界第2の経済大国になったことを知っているか。中国は人権の擁護と増進を憲法に記入していることを知っているか」
人権批判に対して感情的に反論
発言の引用だけでは王毅外相の対応の激しさを十分伝えられないが、この記事を書いたエミリー・ラウハラ記者は次のようにコメントしている。
「人権状況に関する質問は一部であり、その点をはぐらかせて答えることは困難でなかったはずだが、王毅が人権問題にこだわって冷静さを失ったことは驚きだった」。つまり、王毅外相は、人権批判に対して正面から立ち向かい記者と衝突してしまったのだ。
ラウハラ記者は王毅外相の立場を慮り、フォローもしている。「王毅が感情を爆発させたので、中国の指導者がメディアに向き合うことが少ないこと、国内ではあらかじめ作られた質問に対して決まった回答をすることを思い出した」。
カナダ政府は王毅外相の言動を問題視した。報道では、3日、トルドー首相は「報道の自由は極めて重要。厳しい質問をするのがメディアの仕事だ」と反論し、記者への不当な扱いについて、カナダ政府として、王毅外相と駐カナダ中国大使に抗議した。こんなことは普通ではない。
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