最近、台湾と中国の間で国際的な関心を集める事態が増えている。
5月20日に発足した蔡英文新政権は、翌日の土曜日にさっそく活動を開始し、2014年に国民党前政権が改訂した学習指導要領を元に戻すことを決定した。まず、ここで中台の緊張が高まった。
「光復」を巡る歴史認識
そもそも台湾と中国の間では、台湾の歴史について認識の違いがあり、中国は台湾が「中国の固有の領土」という立場であるのに対し、台湾では、「中国を支配する政権が台湾に国家権力を及ぼすようになったのは清朝以降であり、しかも台湾の一部しか支配していなかった。古来台湾が中国の一部であったというのは歴史的事実に反する」という考えが強い。
国民党は中国に近い歴史認識であり、たとえば、日本の敗戦後国民党が中国大陸から台湾へ渡ってきたことを「光復」と呼んでいた。「光復」とは失われていた土地が祖国に復帰することを意味する。国民党としては、「国民党が台湾を日本の植民地支配から解放し、祖国への復帰を実現した」という認識だったのだ。
一方、政府としては台湾人の歴史認識を無視することもできない。そこで教科書が「国民党が台湾を接収した」と記述していたことについては特に介入しなかった。この表現であれば、政府とも台湾人とも矛盾はないと考えられたのだろう。
しかし、2014年の教科書改訂で政府は方針を変更して国民党の歴史認識を教科書に反映することを求め、教科書は「国民党による台湾接収」という言葉は残しつつ、それは「光復」であったと位置づけた。
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