フォッシルが狙う「Apple Watch後」の市場 ディーゼルのスマートウォッチが今秋発売!?
――一方でアップルの参入によって注目を浴びた結果、業界は成長したということですね?
時計業界全体は500億ドルでほぼ安定していましたが、アップルの参入だけでなく、サムスンやLG、ソニーなどの参入で市場は活性化しました。ファッションは多様性が求められる業界ですから、この市場に対して正しいアプローチを取れば、いい結果がついてくると思います。
Misfitを買収した理由とは
――もともと、自社でスマートウォッチを開発していたと思いますが、なぜMisfitを買収したのでしょうか。
ひとつには、新しいブランドとして存在感を獲得していたこと。そして、デジタル製品のブランドとして流通チャネルにも認知がありました。彼らの流通チャネルでの知名度と、フォッシルの時計業界における存在感を組み合わせることで、流通やオペレーションを効率化し、売り上げを伸ばせるだろうと考えました。
もうひとつはMisfitの創業者であるサニーや幹部のポリシー、考え方にフォッシルと通じる部分があったことです。彼らは低消費電力、小型軽量化、壊れにくさや、可能なかぎりユーザーインターフェースをシンプルにする方向性など、われわれの事業や企業文化との相性がいいと、話をしてすぐに感じました。しかも、200人ものソフトウエアやエレクトロニクスのエンジニアがいます。時計メーカーのわれわれにはいなかったリソースです。その全員が今、フォッシルの次世代製品に携わっています。
また、MisfitはSpeedo(水泳用品メーカー)やスワロフスキーといった既存ブランドとの協業経験がありました。われわれは16のブランドと提携していますから、彼らとは一緒にやりやすいだろうと予想したのです。ひとつのモジュールに必要な機能を落とし込み、それをブランドごと異なる製品に横に展開できる柔軟性があることがわかっていました。それこそ、時計業界では非常に重要なんです。数社がムーブメントを開発し、各メーカーはそれらのムーブメントを購入してブランド時計を開発しているのが時計業界です。Misfitは、ウエアラブル、スマートの時代における“ムーブメント”メーカーになれると考えています。
――フォッシルはシンプルな時計から複雑なクロノグラフまで、さまざまなアナログ指針式の時計を作っていますが、それらで採用しているクオーツ・ムーブメントに、Misfitの技術が入っていくということですか。
もちろんそのとおりです。フォッシルが製造・販売するあらゆるブランドの時計に、Misfitの技術が入っていきます。Misfitの技術はハードウエアだけでなく、アプリやサービスといったソフトウエアも含んでいます。ファームウエアやアプリ、サービスなども含めたパッケージを“ムーブメント”として再定義して提供できます。フォッシル、マイケル・コース、ケイト・スペードなど、あらゆるブランドにそれらを搭載します。
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