海外駐在、さあ子どもの教育をどうする!? 乳幼児期に重要な母語確立と幼稚園選び
幼稚園を選ぶうえで重要なのはセキュリティーだ。幼稚園では子どもが勝手に外に出ないよう、ロックは大人しか開けられない位置に設置してあり、インターフォンでの双方確認は常識である。治安の悪い国ではガードマンがいるし、幼稚園バスの窓にもしっかりカーテンが引かれ、中が見えないようになっている。また子どもを迎えにいく際にも、登録した人しか子どもを引き取れないようにしていたり、迎えに来た人のIDをチェックする園もある。
合わせて確認したいのが設備や衛生状態である。年間を通じて暑い国の場合、エアコンの設備や園庭の日陰、お昼寝の時間があることが重要だ。給食の出る幼稚園であれば食料の衛生管理、そのほかおむつ替えの衛生環境、遊具の安全性もチェックする必要がある。こうした安全面や衛生面から日系の幼稚園を選ぶ家庭は多い。日系幼稚園の場合、日本から先生を呼び寄せたり、教材も日本から取り寄せたりしているため、現地の幼稚園より保育料は高めになる傾向がある。
まったく知らない環境に置かれると、大人でもその不安が永遠に続くように感じる。ましてや日本語が通じないとなると、相当なプレッシャーだ。できれば親がしばらく一緒に通ったり、言葉のわかる子を側につけてもらったり、愛用のぬいぐるみなどがあると心強い。それでも理由もなく泣き続ける、赤ちゃん返りやおもらしが戻る、チックやどもりの症状が出るようになったら登園を控えよう。まったく笑わなくなってしまった子が日系幼稚園に転園した途端、笑顔が戻った例もある。
母語が急激に発達するのは1歳から5歳
ところで、小さな子どもは言葉も習慣も自然に、しかも早くに身に付くと思われがちで、先のことをあまり心配せずに連れてくる場合が多い。そして特に英語圏に赴任の場合、なるべく早いうちに英語に慣れさせたいとの思いから、デイケアやプリスクールに入れる家庭も多い。その場合、考えなければならないのが母語の確立である。
海外における日本語の入ってくる量は、日本にいる時のわずか30%と言われている。その理由は3つある。まずひとつは日本語が海外においてマイナーな言語であるということ。海外はテレビをつければ日本語が流れてくる環境ではない。2つ目は小さな頃より海外で育つ場合、生活が広がるにつれ、物の名前などは現地の言葉が日本語より先に刷り込まれてしまうこと。最初に出会った言葉が記憶に鮮明に残り、後から入る言葉が定着しにくくなるのである。
たとえば靴を見たときに、これは「靴」ではなく「シューズ」である、との認識が起こり、残ってしまう。3つ目は日本語の語彙を広げてくれる大人が日本に比べて圧倒的に少ないこと。日本にいれば、乳幼児は家の中でも外でも温かい人間関係のもとで話しかけられ、語彙が着実に蓄えられる。しかし海外にいると、一歩家を出ると現地の言葉に囲まれ、日本語より外国語のほうが確実に刻まれるのである。
では母語の確立がなされないと、どのようなことが起こるのだろう。
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