市場が織り込んでいない「3つのリスク」 株価暴落や急激な円高が進む恐れがある
道は二つしかない。一つは、米利上げが順調に進むという道筋が見えてくることだ。だが、先ほど示したサイクル、米利上げの意向表明⇒市場不安定化⇒利上げ断念⇒市場安定、という関係性がある以上、米利上げがかつてのように、安定的に行われるのは難しそうだ。それだけでなく、BREXIT,トランプリスク、中国リスクという、市場がまだ織り込んでないリスクも数多くある。BREXITとなれば、GBP(英ポンド)が急落するのみならず、グローバルに株式市場が暴落することが想定され、為替市場では円高GBP安が進行しそうだ。
「ヘリコプターマネー」の弊害で円安になるのはまだ先
BREXITだけでなく、トランプリスクも大きい。既に一部の世論調査ではトランプ氏がクリントン氏をリードしている。選挙が近づくにつれ、米国民も冷静になると期待されているが、民意で大統領を決める以上、何が起こるかわからない。トランプ氏が大統領になった場合、ドルは10~20%即座に下落可能性がある(ただ、トランプ氏は彼自身矛盾したことを平気で発言しており、実際に大統領になった場合、全く違う政策を取る可能性もある。一部にはそうした可能性に期待する声もある)。
そして、最大のリスクが「中国」だ。巨額に積みあがった民間債務、上がり過ぎた不動産市場、いつ何時リスクが顕在化するかわからない。中国経済は巨大であり、もし現実化した場合、とてつもない影響がある。
しかし、こうした材料を乗り越えて円安にする方法が一つだけある。それがいわゆる「ヘリコプターマネー」と言われているものだ。これがもう一つの道だ。定義が曖昧だが、要は返済見込みのない借金で財政政策を行うことだ。現実的に日本の財政赤字が日銀によりファイナンスされている以上、もう既にヘリコプターは飛び立っているという意見もある。おそらくそうかもしれない。ただ「ヘリマネ」が誰の目にも明らかになり、円がその価値を吹き飛ばしてしまうのは、まだもう少し先のことだろう。目先は数多くあるイベントリスク、円高材料がマーケットを左右しそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら