市場が織り込んでいない「3つのリスク」 株価暴落や急激な円高が進む恐れがある

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しかも、これまで米利上げを妨げてきたのは世界市場の混乱だったのだが、今回は自らの労働市場の変調というのが気味の悪いところ。もちろんその他の経済指標で、米国経済の変調を警告しているものは特にない。しかし、利上げのチャンスを伺っているうちに、米景気サイクルが終わりに近付いているのかもしれないという疑念もある。今後の経済指標の動きには注意だろう。

ただでさえ今年はBREXIT(英国のEU離脱)懸念、トランプリスク、そして本命のチャイナリスクと、様々な波乱要因がある。もし、それに加えて「米経済変調」が加わったら、米国は果たして利上げできるのだろうか。

ゴールデンウィークの直前より、ルー米財務長官は日本の為替介入を警告、米為替報告書の「監視対象国」に日本が入り、「どこまで円高が進むのか」と震え上がった市場参加者も多かったと思われるが、その不安を払拭したのが「米利上げ観測」だ。次々と利上げを訴えるFOMC委員、6月利上げの可能性を示したFOMC議事録、そしてダメ押しが「数カ月以内」の利上げを示唆したイエレン議長講演だ。米利上げの思惑は、ドル円を105円台から111円台まで押し戻した。このままテクニカル指標の一つである「一目均衡表」の雲を上抜けて、ドルが上昇基調に戻るのかとも思われた。

今あるのは「円高材料」ばかり

だが、その基調を崩したのは、再燃した英BREXIT懸念だ。英世論調査で離脱派が残留派を上回ったのだが、今回は電話調査でも離脱派が上回ったことが大きかった。これまで電話調査で離脱派が残留派を上回ったことはなかった。その後、日本では消費増税先送りが決まった。その判断の是非はともかく、結果的に世界中が日本経済の弱さを再認識し、株価は崩れ、円高が進んだ。そして、ダメ押しが米雇用統計で、結局111円台半ばまで回復したドル円は、ほんの数日で106円台半ばへと反落した。

円高材料は数多くある。そもそも年金をはじめ、機関投資家の多くは海外へ大きく資産をシフトしてしまった。経常収支の大きな黒字が戻ってきた。貿易問題に厳しい大統領候補の影響もあり、米為替政策も大きく変化した。円安はもはや許容されない。日本の金融政策も限界に近付いている。こうした要素を打ち消して、円安を実現するにはどうしたら良いのか。

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