首相が押し切った「増税延期判断」の舞台裏

増税延期のシナリオは極秘裏に描かれた

自民党の谷垣禎一幹事長も「増税延期なら衆院を解散して信を問うべきだ」と加勢したが、あっさり退けられた。

なおくすぶる衆院解散説、年内なら「違憲」

増税を見送るプロセスの中で、永田町関係者があらためて認識したのは首相の「ツルの一声」の重さだ。安倍一強と表現されるニュアンスよりも、その強大さは鮮烈と言える。自民党税制調査会は5月31日に幹部会合を開いたが、増税延期の議論はなかった。

幹部の1人は「官邸が決めたのだから、仕方ない」と力なく話すしかなかった。今回の増税判断では、事前に取りざたされていた同日選は見送られたが、永田町では「衆院はいつ解散されてもおかしくない。憲法改正を狙うなら、いつまでも公明と一緒に、というのは嫌なはず」と、首相の胸のうちを忖度(そんたく)する。

最高裁が違憲状態とした衆院選挙制度改革では、1票の格差を是正する改正公選法が成立。新しい選挙区の区割りが効力を発揮するのは来年夏以降だが、裏を返せば、それ以前の解散は「違憲」状態であることに変わりない。「何でもありだ」──。増税延期の決断前夜、盟友にも耳をかさない安倍首相の「独断専行」ぶりに、きしむ政権内部を懸念する声が、政府部内からも出ている。

 

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)

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