官僚が握る「安倍新政権」の命運

山崎元が読む「総選挙後」のマーケット

選挙後は読売と朝日の「論説」に注目

 今回、選挙前の時点で内容がはっきりしている政策は、安倍氏の「大胆な金融緩和」くらいのものだ。その実現には、1つには日銀総裁人事に絡めて日銀に約束させることができるか、もう1つは、日銀法を改正して、インフレ目標の設定に「政府が」責任を持つ形を作ることができるかが、問題となる。

自民党勝利の「着差」が「大差」であれば、これらを来年の前半に進めることができる可能性が高まる。

ちなみに、レースが始まってからの「展開」も、自民党には有利だった。「国土強靱化」は、旧来型の非効率的な公共投資だとの批判を浴びる可能性があったが、トンネルの天井崩落事故がこれを打ち消した。また、北朝鮮の「人工衛星」発射も、タカ派が売り物の安倍氏には有利に働く公算が大きい。さて、どのくらいの「着差」になるのだろうか。

また、「馬券人」にとって2着、3着が重要であるように、第二党以下の勢力分布も重要だ。みんなの党は明らかに金融緩和に積極的だし、日本維新の会もデフレ対策に関してはブレていないはずだ。

彼らが、3、4着でいいレースぶりを見せるなら、次のG1レース(来年の参議院選挙が重要だ)への思惑も影響して、金融緩和政策の実現に弾みがつく可能性がある。

ただし、筆者が、実は、「着差」と「掲示板(着順)」以上に重要だと思っているのは、おそらくメディアに表れるであろう「霞が関」の意向だ。

前回の総選挙では、結果が出た直後から、民主党政権に対して、「マニフェストを柔軟に修正せよ」、特に「子ども手当を見直せ」とのキャンペーンが、いくつかの大手メディアから発信された。

子ども手当は、民主党の「コンクリートから人へ」を反映した「公平なバラマキ(=再分配)」で、公共事業による「非効率的で不公平なバラマキ」よりも、よほどいい政策だが、官僚から見ると、自分たちの裁量が働く場所も天下りにつながるチャンスもほとんどなく、自分たちが使えたかもしれない財源を食う(当初の予定では年間5兆円だった)、おそらくは「憎くてたまらない、潰すべき政策」だった。

どの新聞に、いつ表れるか、は今の段階ではわからないが、「解説」「社説」などの欄で大新聞が書く論説は、官僚の情報やレクチャーの影響を大きく受けている。どこに強く出るかはまちまちだが、読売新聞と朝日新聞と両方に何も出ないということはないだろうから、投票後3日くらいは、両紙を注意深く読むべきだ。

「日銀の信認を大きく損なうような政策には慎重であるべきだ」あるいは「財政再建に逆行するようなことがあってはならない」といったニュアンスの論説が確信を持った論調で書かれている場合、「大胆な金融緩和」は中途半端に終わる公算が大きいと見るべきだ。

次ページさてGI予想。朝日FSは小波乱と言われるが・・・
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