米国企業の「寡占」はデジタル化の産物だ 巨大企業も自然淘汰からは逃れられない

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縮小
米国では寡占が進み、業種間格差も拡大している。ニューヨークで撮影 (写真: ロイター/EDUARDO MUNOZ)

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企業の高収益は、どのようにもたらされるのだろう。本来であれば企業側の競争優位やイノベーション、効率化の産物であるはずだ。しかし、米大統領経済諮問委員会が発表した報告書によると、最近の高収益は「市場の寡占」という別の要因でもたらされることが明らかになっている。

同報告書には、少数の企業に蓄積された莫大な利益など、米国経済における「競争の縮小」を示す複数の指標が記されている。オバマ米大統領も同報告書に沿って、米国内のすべての政府機関に競争を促すよう求める大統領令を出した。

イノベーションを好む米国においても、多くの業界でほんの一握りの大企業が市場シェア、高収益を寡占しているのが実態だ。また獲得した利益は生産設備への投資などにではなく、キャッシュとしての貯蓄や買収費用などに充てられている。

競争の縮小が主因ではない

とはいえ、競争の縮小がこうした尋常ではない経済現象の主因だと結論づけるのは早計だろう。背景にあるのは急速なデジタル化なのだ。

企業利益はほぼ史上最高の水準になっているが、企業や業界の間の格差も顕著になっている。今や米国で最も高収益を享受しているのは、重工長大産業ではなく、ソフトウエア会社などIT産業だ。また医薬品、メディア、金融といった業界も高収益を謳歌している。こうした業界の米国における利益のシェアは、1999年の25%から2013年の35%にまで増加している。

IT業界には「勝者に最大の取り分がもたらされる」ダイナミクスがある。その結果、トップ企業は記録的な利益を稼げるだけでなく、イノベーションを加速させて新たな領域に参入する力を持ち、他社に大差をつけることが可能になる。

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