セブンプレミアム、好調ゆえの悩み 15年に売り上げ1兆円へ倍増

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12日の記者会見には鈴木敏文会長も出席した

小売業にとって、PBは粗利率が高い重要商材。「セブン」という自社のブランドを消費者にアピールすることもできる。ただ、好調だからといって、店舗の棚すべてをセブンプレミアムで埋め尽くせばよいという単純な話でもない。客が商品を選ぶ楽しみがなくなり、客足が遠のいてしまう危険性があるからだ。

セブンはセブンプレミアムを拡充しながらも、「メーカー品」とされるNB(ナショナルブランド)との品ぞろえのバランスに苦心している。「狭いセブン-イレブンでも、NBが強いカテゴリーではNBとPBを併売にする」と、セブン-イレブン・ジャパンの鎌田靖・取締役常務執行役員商品本部長は語る。「分野ごとに、PBとNBの品ぞろえのバランスを変えている」(鎌田氏)。

総菜はセブンプレミアム一色

たとえば総菜カテゴリーには圧倒的なNBブランドが少なく、PBを拡大しやすい。セブンプレミアムでもパウチに入った小容量の総菜は、主婦の“時短志向”や単身世帯の増加を背景に伸長。セブン-イレブンのチルド棚には、セブンプレミアムの総菜が一面に並べられている。

一方で、しょうゆ、マヨネーズなどの調味料は、キッコーマン、キユーピーという強いNBメーカーが存在する。セブン-イレブンがターゲットとする高齢者層は、使い慣れたNBブランドを選ぶ傾向が強い。そのため、狭いコンビニの店舗の中でも、セブンプレミアムとNBブランドを並べて置いている場合が多い。

急成長を狙うセブンプレミアムだが、その戦略は品目の拡大一辺倒でもない。有力メーカーとの取引関係もうまくバランスしていくことが求められているのだろう。

(撮影:今井 康一)

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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