アディス市内なら今や富裕層だけでなく、中産階級、若者、タクシーのドライバーなど多くの人々がスマホを持ち、歩きながら話したり操作したりしている。エチオピアの公用語アムハラ語と英語の翻訳アプリも登場。高校生もスマホを持ち、フェイスブックで友人たちとやり取りする。先進国では日常の風景がこのアフリカの都市でも見られる。
アディスはここ数年で大変貌を遂げている。空港と市内と結ぶ幹線道路の拡張工事が完成。ガラス張りの真新しい高層ビル、おしゃれなカフェやレストラン、ショッピングモール、大型ホテルが次々にでき、建設ブームに沸いている。そして市内に電車が走り出したことでトタン住宅が密集するスラムの町という印象だった都市から、アフリカ連合(AU)の首都という名に相応しい都市となった。
過去10年以上にわたりアフリカは世界でも最も大きな経済成長を遂げた地域。今や“人類に残された最後の成長大陸”と言われている。
今年4月に国際通貨基金(IMF)は、資源価格の下落などにより依然として弱いとして今年のサブサハラ・アフリカの成長率予測を1%引き下げたが、それでも今年の同地域の経済成長予測は3%。中国、インドなどアジアに次ぐ高さだ。
2014年の経済成長率は世界1位を記録
エチオピアはそのアフリカの中でも“優等生”だ。
冒頭にも記したように、同国は人口9950万人とアフリカ大陸で2番目の規模を誇る。過去10年間連続で約10%の経済成長を達成、2014年の経済成長率は10.3%で世界1位を記録した。IMFは今年のエチオピアの成長率は昨年の10.2%から、昨年からの大干ばつの影響で4.5%に減速すると予測しているものの、来年は7%に回復すると予測している。
1980年代半ばにエチオピアを襲い、60万―100万人ともいわれる人々が犠牲になった大飢饉からわずか約30年でこの国は大変貌を遂げている。
エチオピアは1974年、革命により帝政が廃止された後、メンギスツ政権による社会主義政権が発足。1991年にはこの政権は崩壊し、1995年に政権を握った前メレス首相の主導のもと経済発展が急速化した。
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