「クールビズ」が就活生に浸透しない根本要因 軽装での訪問を容認する企業も出てきたが…

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会社によってクールビズへの対応が異なるため、就活生は訪問する会社の事情に応じて服装を考えないといけない。1日に複数回面接がある場合、クールビズを奨励する会社と、そうでない会社とで服装を変える必要性も出てくる。「クールビズを徹底して欲しい」「全社クールビズを行ってほしい」(HR総研アンケート)という声が上がるのはそのためだ。

ただ、「クールビズ可」「クールビズでお越しください」という場合でも、就活生からすると、具体的にどんな格好をすべきなのか判断に迷うという。クールビズとひと言でいっても、ジャケット着用でノーネクタイなのか、ジャケットなし・ネクタイ着用なのか、あるいはジャケットもネクタイもいらないのか……。企業側のクールビズ基準は曖昧で、就活生にとっては返って混乱を呼ぶ悩みの種だ。

就活生からは「ジャケットを着なくてもかまいませんではなくて、ジャケット着用不可とかわかりやすく指示してほしい」「ジャケットが本当に必要ないのならば、しっかりとその旨を記載してほしい」(HR総研アンケート)との声が漏れてくる。さらに「クールビズでお越し下さい」と言われたのに、ジャケットなしで会社を訪れたら注意されたという就活生もいた。混乱は企業側でも発生しているのだ。

就活サイト「Offer Box」を運営するi-plugでは、「『就活クールビズ宣言』プロジェクト」と題し、昨年からクールビズ就活に賛同する企業を募集している。サイト内に「ノーネクタイ or ノージャケット OK」「ビジネスカジュアル OK」「私服 OK」といったアイコンを表示し、企業ごとにどんなクールビズなら問題ないかを明示している。賛同企業は約70社で、日産自動車やコクヨ、大幸薬品といった有名企業も名を連ねる。しかし、こうした服装の明示ができている企業は、まだ少数派だ。

クールビズはあきらめ、夏用スーツで乗り切る

一方、就活生にとっては「不着用リスク」が高いクールビズスタイルよりも、ジャケット姿でも夏場の就職活動を乗り切れるスーツに関心が広がっている。

紳士服のAOKIでは、夏場でもジャケット着用で就職活動ができる「究極の就活スーツ」を今年発売している。洗濯機で丸洗いができるほか、通気性のよいメッシュ地の生地を使うなど、夏場でも快適に着られる工夫が散りばめられている。

「昨年の就活生からノージャケット、スラックスというスタイルで就職活動をするのは怖いという声が多かったので、夏場でもジャケットが着られるようなスーツを開発、販売している」(AOKI横浜港北本店の丹治貴史ファッションアドバイザー)という。評判も上々で、先輩から夏の就活体験を聞いた就活生が夏用のスーツを買っていくという。

今年は選考活動の解禁日が8月から6月に変更。梅雨の鬱陶しさはあるものの、炎天下に面接会場に向かうという暑さの負担感は昨年よりも減るだろう。しかし、クールビズがすっかり定着したオフィス街で、就活生だけが「ネクタイ、ジャケット着用」というスタイルで歩く情景は気の毒な感じもするが、しばらくは続きそうだ。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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