官民で仕掛ける「中国ブランド向上計画」 中国のイメージを改善せよ!

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Powerlandというブランド名で中国主要都市に展開する高級婦人バッグメーカーがあります。親会社は保兰德集团と言い、今年4月に北京で行われた2012秋冬新製品発表イベントで、同社の総帥である郭顺元さんと知り合うことができました。

このブランドは中国国内でも「Powerland」という英文標記一本でブランディングを進めており、商品のデザインもルイ・ヴィトンやエルメスと見まごうばかりの高級感あふれるものです。これには秘密があって、同ブランドのチーフ・デザイナーは元グッチのチーフデザイナーでありその後フェンディやトッズなどのバッグを手掛けていたFrancesco Turchiなのです。また、販路は自社ブランドショップのみで、広告には香港の国際派女優「李嘉欣(ミッシェル・リー)」 を起用しています。

中国の消費者の目にはグローバルブランドにしか映らないこのブランドですが、値段は2000~6000元(約27000円~81000円)程度と、一般女性でも手の届く範囲です。

郭オーナーの視線も海外市場へ向けられており、すでに南アフリカ、イタリア、オーストラリアに拠点を持っています。

ディカプリオの起用で、欧米のイメージを

11年、レオナルド・ディカプリオ主演のTVコマーシャルにより一気に知名度を上げた、「OPPO」という携帯端末ブランドがあります。これも実は「国内品牌国際化」戦略の一例です。

仕掛けたのは広東歩歩高電子工業の子会社であるOPPO社。Androidベースの携帯電話の新機種「Find」の市場導入を契機に、グローバルに通用するブランド構築を開始したのです。

巷間500万ドルとも言われるギャラでディカプリオの出演を取り付け、フランスを舞台にしたサスペンスドラマ風のミニムービーをテレビとインターネットの連動で展開。このキャンペーンは多くの中国人の心を掴み、「OPPO」のブランドイメージは大きく向上しました。私の周りの中国人社員たちは広告の専門家ですが、彼らの多くも最初は、OPPOが欧米ブランドだと思い込んでいたそうです。

OPPOは中国と同時にアメリカでも商標登録されています。国内でブランドを立ち上げる際に、最初からグローバルスタンダードでブランドを育成し、国内で販売実績を積んだ後にグローバル市場に打って出る。そんな絵に描いたような「国内品牌国際化」戦略を実施しているのです。

岡崎 茂生 フロンテッジ ソリューション本部副本部長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おかざき しげお / Shigeo Okazaki

1981年東京大学教育学部卒業、1989年ピッツバーグ大学経営大学院MBA。1982年電通入社、2006年より北京駐在。北京電通 ブランド・クリエーション・センター本部長を経て、現職。30年におよぶ広告・マーケティング領域での経験をベースに、中国企業をはじめタイ、アメリカ、韓国、日本企業などを対象に幅広くブランド戦略コンサルティングを行なう。アジア各国およびアメリカの大学/大学院でのブランド講座・公開セミナー、フォーラムでのスピーチ、雑誌連載など多数。チュラロンコン大学商学部マーケティング学科客員准教授、南京大学ジャーナリズム&コミュニケーション学院客員教授、湖南大学ジャーナリズム・コミュニケーション&映像芸術学院客員教授。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事