官民で仕掛ける「中国ブランド向上計画」 中国のイメージを改善せよ!

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その具体的な表れが、国家商務部の指導の下、中国商務広告協会などが広告会社の「国安DDB」に依頼して制作した、「中国制造」(Made in China)という30秒のTVコマーシャルです。

このCMは、2009年11月から、米放送局CNNを皮切りに、グローバル市場へ向けてオンエアを開始しました。その狙いは、「世界の工場」として輸出で稼ぎまくる中国を経済的脅威として警戒し始めた海外の人々の、中国に対するイメージを改善することです。

CMに登場するのは、欧米人。そこに、軽快な音楽とともに、「フランスのデザイナーと共に作っている洋服」「シリコンバレーのソフトウエアを使って作っているデジタル機器」などの表示タグとナレーションがかぶってくる、というものです。

主たるメッセージは「Made in Chinaと言っても、実際は世界各国とコラボして作っています。つまり、Made with the worldなのです」ということ。つまり、「Made in Chinaを批判する人はMade with the worldを批判しているのと同じですよ」と主張しているわけです。

私は、この種のレトリックは、グローバル市民にその意図を見透かされた瞬間、逆に反感を買ってしまうと危惧していますが、国家主導で中国ブランドの地位向上を仕掛けてくるその姿勢には大いに学ぶものがあると思います。

そうした姿勢を象徴するのが、「国内品牌国際化」というキャッチフレーズです。

あるゴルフウエアメーカーのブランド戦略

この言葉は、私の友人である広州のゴルフウエア製造販売会社のオーナー、謝秉政さんから教わりました。謝さんは03年以来オリジナル・ブランド「比音勒芬」(ビーインルーフォン、と読みます。アルファベット標記はBiemlfdlkk、ちょっと発音に困ります)を冠したスポーティー・カジュアルウェアを全国のショップ、デパートで展開しています。

このブランドのデザインは、トミー・ヒルフィガー風のクリーンでちょっとマリン系のスカッとしたスポーティ・カジュアルです。細部の刺繍など非常に凝った作りになっており、価格は同等の日本製品よりも高く設定されています。デザイナーには韓国人を起用しているそうです。

「比音勒芬」のゴルフウエア(同社ホームページより)

ある国営企業のゴルフコンペに招かれたとき、コンペのオフィシャルサプライヤーであった比音勒芬のポロシャツとキャップが参加者全員に配られ、私はそれ以来このブランドのウエアを愛用しています。広州市の本社を訪問した際も、ショールーム兼ショップでウエアを購入しました。このような、オーソドックスでありながらクリーンなデザインのゴルフウエアは意外と少ないのです。

その謝オーナーが、高付加価値型事業モデルの推進に当たり、自社オリジナルブランドの育成を重視するとともに、海外展開も視野に入れています。まず中国国内で海外ブランドと渡り合える強いブランドを作る。さらにそれを海外へとマーケティングし、グローバルブランドへと育成するという青写真が、謝さんの頭の中にすでに描かれているのです。

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