ところが最近、その「爆買い中国人たち」の消費ぶりには明らかにかげりが見えている。前述の滞在中の消費額15万円強という数字だが、実は前年同期と比べ15%弱減っている。2015年には前年から35%も伸びていた増加ぶりと比べると「失速」と言わざるを得ない。
その理由として、観光庁は「為替レートの円高方向への動きも影響」と述べるにとどまっているが、昨年からの株式市場の低迷などに起因する中国経済の減速が大きな逆風となっていることは言うまでもない。しかも観光庁が統計発表の際、前年との比較を行っていないのが気になる。
さらに、中国の新たな税制がさらなる痛手となると予想される。
中国政府は4月上旬、個人消費者が海外から通信販売で輸入する際の税徴収を強化した。これに併せて、空港での通関検査が以前に増して厳格化されている。
海外旅行1回に当たり5000元(約8万4000円)と定められた免税範囲そのものは変わっていないが、中国駐在の日系通関業者によると「これを超える物品を持ち込もうとした場合、容赦なく課税される可能性が大幅に高まった」のだという。中国人訪日客は今後、税負担を覚悟の上で日本でのショッピングを続けるのか、それとも購入額を控えようとするのか。今後の動向が気になるところだ。
免税店の数は1年で倍増
一方で、日本の「インバウンド市場」は依然として拡大を続けている。
4月1日現在の訪日客向け消費税免税店の認可数は、全国で3万5000店余りに達した。前年同月と比べ2倍近くに増加、半年前と比べても20%以上伸びている。
あまり外国人の出入りがないような商店街にも「免税」と書かれた幟(のぼり)を掲げるドラッグストアがあったりするのは、「とりあえず許可を取って、外国人が買いに来るのを待つ」ということなのかもしれない。
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