スズキのドル箱・ワゴンRにまさかの展開 目標割れ響き軽シェアが低下
軽乗用車市場でスズキの低落が止まらない。2012年1~11月までの累計販売シェアは28.5%と11年暦年の30.8%からさらに低下、12月で挽回できる可能性は低く、10年以降、3年連続でのシェアダウンとなりそうだ。11月単月で見ると、シェアは25.5%とホンダについにほぼ並ばれてしまった(224台差でかろうじて2位)。
足元のシェアダウンの要因は、9月にフルモデルチェンジを果たした主力車種「ワゴンR」のスタートダッシュが勢いを欠いていることだ。派生モデルを合わせて月間販売台数1万6000台を目標掲げた新ワゴンRは、9月こそ2万0891台となり、軽乗用車の車種別でトップブランドとなった。だが、10月には1万5946台でホンダの軽トールワゴン「NBOX」に抜かれ2位に後退、11月には1万4368台とダイハツ「ミラ」(ミライースなど同一車名含む)にも抜かれ3位に後退してしまった。
通常、目標販売台数は、発売後、数カ月経ってからの巡航速度での販売数のため、投入直後は3~5割増しでもおかしくない。それが2カ月目に早くも目標割れとなっているだけに状況は厳しい。
1年前倒しで投入したはずが・・・
新ワゴンRは、もともと2013年にフルモデルチェンジを予定していたものの、およそ1年前倒しで投入した。ダイハツとの競合が厳しいうえに、ホンダも国内は軽自動車を主力分野と位置づけて強化してきたことに対抗するためだ。主力車種の前倒し投入はスズキの危機感の現れであり、力も入っていたわけが、その効果は限定的だったといえる。
新ワゴンRは、アイドリングストップ機能の改良や回生エネルギー利用など新技術を導入、軽ワゴントップの低燃費28.8キロメートル/リットルを実現するなど、車としての評価は低くない。だが、外観デザインの変化が少なく、一般消費に対して、新型車としての訴求力を欠いていることが出足の鈍さにつながっているようだ。
ワゴンRに続き、スズキは13年にトールワゴン「パレット」をフルモデルチェンジする。軽の主戦場となったトールワゴン市場で、スズキは、ダイハツ「タント」のみならず、伏兵のホンダ「NBOX」にも大きく先行を許す形となっている。新型ワゴンRの出足がスローな分、新型パレットにかかる期待は一段と大きくなっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら