米国の自動車事業から完全撤退するスズキ 存在感を発揮できず

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スズキは米国の自動車事業からほぼ完全に撤退する。すでに生産からは手を引いていたが、ハワイを除いて米国における自動車販売もやめる。100%子会社ASMC社は連邦破産法11条(民事再生法に相当)に基づく更生手続きを申請した。バイクやバギー、船外機など自動車以外の事業は継続する。

スズキの米国自動車事業は、現在、日本から輸出する3車種と、日産からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けている1車種と合わせて4車種を販売している。しかし、2011年の販売実績はわずか2万7000台にとどまる。ASMC社の2012年3月期業績は売上高9.5億ドル、純損益は1579万ドルの赤字、1億1785万ドルの債務超過に陥っていた。

かつてスズキはカナダに米ゼネラルモーターズ(GM)との合弁工場を持ち、北米地域での生産も行なっていたが、それでも米国では年間10万台強の販売実績が最高だった。リーマンショックの後、09年には合弁を解消、円高の定着もあり、日本からの輸出では展望が開けない状態になっていた。

スズキは軽自動車や新興国向けの小型自動車では競争力を有しているものの、相対的に大型の自動車が主流の米国市場では存在感を発揮できなかった。業績への影響についてスズキは更生手続きの先行きによるとして詳細を明らかにしていない。ただ、ASMCの再建については、減損処理など一定の会計処理は済んでいるほか、撤退する米国での自動車事業自体がすでに相当規模が小さくなっており、影響は限定的とみられる。

(撮影:今井 康一)

 

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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