マイケル・ムーアが世界中を「侵略」する理由 「良い制度は持ち帰って米国も見習うべき」

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――この映画では、女性の進出がテーマとなっていますが、アメリカで女性進出が進んでいないというのが意外でもあったのですが。

まだまだアメリカだって議会の割合は20%くらいだし。人口にしたら50%が女性なわけだから、まだまだ頑張らないといけないよ。

――日本も同じようなものです。いや、むしろもっとひどい状況です。

それは君たちが何とかしろよ(笑)。

問題の根源は「私たち」より「私」という考え方

マイケル・ムーア/(Michael Moore)/1954年4月23日、アメリカ・ミシガン州フリント生まれ。22歳で新聞「フリントボイス」を創刊し、ジャーナリストとして活動を始める。1989年にデビュー作『ロジャー&ミー』を発表し、スマッシュヒットを記録。さらにアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得した『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)、カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた『華氏911』(2004)が大ヒットを記録した。その後も『シッコ』(2007)、『キャピタリズム マネーは踊る』(2009)など、アメリカ国内に巣くうタイムリーな問題を批判し続ける不屈のジャーナリストとして確固たる地位を確立している。ミシガン州トラバース・シティ在住。トラバース・シティ映画祭の発起人を務め、2つの映画館 The State Theatre と Bijou by the Bay を運営している (C)2015, NORTH END PRODUCTIONS

――ヨーロッパ各国からこれだけの「学ぶべきこと」があるのに、アメリカがそれを実現できない理由とは何なのでしょうか。

やはり、アメリカ人のシステムの根本にあるのが、「私たち」ではなく、「私」というところに問題があるんだと思う。

――それは助け合いや思いやりが足りないという意味ですか。

そうだね。アメリカ人というのは助け合いの精神がなくて、基本的に個人主義なんだ。

――それは最近のことですか? というのも、今回の映画では「オズの魔法使い」のフッテージ映像を織り交ぜるなど、どこか古きよき時代のアメリカへのノスタルジーを感じたのですが。

いや。アメリカにいい時代なんてなかったよ。昔は黒人がバスに乗るにも隔離されていたわけだし、さらに時代をさかのぼれば、ネーティブアメリカンへの大量虐殺を行ってきた国だからね。ドナルド・トランプは「すばらしい時代を取り戻す」と言っているけど、すばらしい時代がいつあったんだと言いたいよ。

――となると、やはりムーアさんが大統領選に出るしかないですね。

自分はまだ殺されたくないんで、やめとくよ(笑)。

――ムーアさんはアメリカの諸問題を過激に追及してきましたけど、もちろん根っこにあるのは、アメリカへの愛ですよね。

その通り。アメリカは大好きさ。ただ国粋主義的に大好きってわけじゃなくて、やっぱり故郷だからね。まさに自分は、これからもこの土地で生活していかなきゃいけないわけだからね。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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