ホンダの最新鋭工場は一体、何がスゴいのか 寄居工場の生産ラインはこんなにも効率的だ

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実のところ、寄居工場は最新設備がてんこ盛りで、かえって使いにくくなるといった噂を耳にしたこともあったのだが、最新技術を導入しつつ、人手を使う新興国や古い工場に部分的に移設できるようなトライアルも見受けられた。つまり、ホンダの世界戦略に向けた生産側の意気込みが垣間見えたといってもいい。一方で、寄居工場の完成で生産キャパシティは増したが、国内の生産能力を活用するためには国内の販売台数を確保しなければならない。その点を八郷氏に訊いてみた。

八郷隆弘社長に聞く、ホンダの今後

「そのためには、ホンダらしい製品の開発が欠かせません。また、効率的なラインナップを構成するという点で出遅れたのは間違いありません。地域の意見を聞いてクルマを作った結果、あまりにも地域ごとで車種構成がバラバラになってしまいました。世界共通の車種という幹を強くする開発方針を考えています。たとえば、SUVのグローバル展開といった対応が急務です。また、フィット・シリーズは寄居の工場を新設すると同時に、車両開発もしましたので、こうしたスピード感のある開発も可能なのです」

三菱自動車が日産自動車と提携したことで、世界の自動車業界では「1000万台クラブ」という規模こそが競争力の源泉であるかのようなキーワードがもてはやされている。一方で、マツダやスバルのようにニッチを狙って、100万~200万台程度の生産台数を保って個性を貫くという道もある。そんな中、ホンダはあえて500万台程度のままで戦っていくつもりなのだろうか?八郷社長が言う。

「われわれとしては、500万台クラスで生き延びたいと考えています。今の市場規模を考えると、もし500万台を大幅に超える生産台数を目指すのであれば、車種を大幅に広げる必要があります。しかし、それでは、ホンダらしさとして、ピュアにひとつのものを追っていくことができなくなると考えています。研究所を中心にグローバル機種を強化し、地域専用車として設計された車種に関しては、2つの地域くらいがカバーできるように展開できることを目指しています。その両方のアプローチで、高効率化を目指します」

単純な規模を求めず、ニッチも追わない中でホンダらしさを保てるか。ホンダを率いる八郷社長の手腕が問われてくる。

川端 由美 モータージャーナリスト
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