ホンダの最新鋭工場は一体、何がスゴいのか 寄居工場の生産ラインはこんなにも効率的だ

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縮小

もうひとつ、自動車工場としては世界初となる金型交換が自動でできるラックも見応えがあった。複数のモデルを加工するには、途中で金型を交換するのだが、それごとに機械が止まってしまう。自動で金型を選ぶラックを導入することで、仕掛り時間の短縮を行った。

溶接工程については、接着やレーザーといった最新の接合を導入しているわけではない。あくまで従来のスポット溶接やMIG溶接を採用している。注目すべきは、プロセスの変更によって、スポット溶接の数を2000点以上に増しつつ、高速化すると共に、比較的コストの高いMIG溶接の数を減らした点だ。具体的には、従来は骨格と外板を同時に組み立てていたが、寄居工場では骨格部分の溶接ののち、パネル部分の組み立てを行う。これは、ボディの軽量化にもつながる。

”蓋物”と呼ばれるハッチゲートなどの溶接も、自動化されている。また、検査の工程でも最新のレーザー測定を導入し、抜き取り検査の頻度を1車種あたり月一回から、毎日1台行えるようになり、いち早いフィードバックを行って精度を高めることにつながっている。

塗装工程も刷新されている。本来は、4層に塗装を重ねるところを、中塗り工程を削減して3層にすることで、塗装ラインを40%短くし、CO2排出量を約40%も削減した。中塗りの機能である耐候性やUV耐性は、ベースコート部分にその機能を付け加えることで省くことができたのだ。塗装工程は生産ライン全体のうち、約50%ものエネルギーを使う工程なので、塗装工程における40%のCO2排出量削減はライン全体における20%の削減を意味する。射出成形では樹脂の素材からバンパーなどのプラスチック部品を加工している。40秒程度で大型部品の生産も可能だ。

自動化が大きなテーマ

最後に、メインイベントの車体組立ラインを見学した。1階にメインの生産ラインがあり、地下には重量物であるガソリンタンクを運ぶラインがあり、2階にあたる部分ではボディ・パーツが吊り下げられて運ばれている。

11カ所の自動化工程があり、特にシート、タイヤの取り付け、インストゥルメントパネルのような大型で重い部品は機械が担当する方針で設計された。大型パーツは、4つのサブラインで組み立ててからメインのラインに供給される。

組み立て工程については、人間が得意なものとロボットが得意なものを見極めて、生産ラインを最適化している。重量物の取り付けのようにロボットが得意とする部分を広げて、ロボット同士の連携を高め、ロボットが作業しやすいようにラインを見直したのだ。同時に、人間がモノ作りに専念できるように、取り付ける部品をまとめてライン脇に供給したり、重量物の取り付けには補助具を用いたりなどした。

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