頂点にいる人は「具体的な努力」を続けている マッキンゼー出身お笑い芸人が感じたこと

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石井:いや、もうそのとおり。私、忙しすぎるのも性に合っていないと思いましたけど、どこからも求められないのもつらい。そんな経験をしました。

塩野:極端ですよね。以前のマッキンゼーでは、たぶん月400時間ぐらい働いたと思うんですけど。あとコンサルタントは黒子ですよね。それに対して、芸人はすべてをさらけ出す仕事。その意味でもかなり違いますよね。

石井:そうなんですよ。恥を切り売りする覚悟が必要です。それに、ネタでも発言でも、1回ネットに出ちゃうと取り返しがつかないというか。もう2度と回収できないのが、こっちの世界です。

塩野:「回収できない」って名言ですね。

石井:そう腹をくくるまでには、めちゃくちゃ時間かかりましたね。マッキンゼー辞めて芸人になったっていうと、もともとネジの外れたぶっ飛んだ人というイメージを持たれてしまうかもしれないですけど。私、意外と根がまじめで、ぶっ飛んではいなかったと思うんですよ。学生時代も、どっちかっていうと、レールの上に乗ることを是として生きてきたので、その自分の中での固定概念を取り払うのに時間がかかりました。

「やらない後悔」はしたくない!

「天下取ったる」くらいの思い、持っていますか?

塩野:黒子的なところから「私」を前面に出すマインドセットの切り替え。これは幼少のときからの貪欲さがないと難しいと思うんです。

たとえば男子の場合には鬱屈しかない。男子はみんなそうですが、「あのときモテなかったとか、あのときむげにされたとか。そういう鬱屈したところから「天下取ったる」という方向に突っ走るんですね。

石井:わかります。「天下取ったる」くらいのものすごい思いを持っていなければダメだ、というようなことはしょっちゅう言われます。でも正直、私、そんなかっこいい気持ちから始めていないんです。「ちょっとのぞいてみて、ダメだったら引き返せばいい」みたいな気持ちだったんです。それが正直なところです。

「1回入ったらもう死ぬ覚悟で」とか、「骨うずめる覚悟で」とか、大げさなことを言っていたらたぶん何も始められないと思ったんです。「やらない後悔より、やる後悔」じゃないですけど。それこそマッキンゼー的な仮説思考みたいなことをしたんです。やってダメなら、仮説を修正するぐらいの気持ちでやればいいんじゃないか、と思って始めました。

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