ベン・ローズ安全保障副補佐官も「オバマ大統領がこの都市を訪問し、(原爆で命を失った犠牲者を)奉安するのに適したタイミングではある。訪問によって、戦争でどれだけ多くの命が悲惨にも奪われたかということに再び光を当てることが出来る」とネットで訪問の意義を説明。世界から核兵器をなくすというのがオバマ大統領の長年の目標であり、「核兵器を私用した唯一の国家として米国はこの(核廃絶という)目標を追求し続けなければいけない特別な責任がある」と記している。
ただし、核軍縮という共通の目標を持つ人たちが、必ずしもオバマ大統領に不満がないというわけではない。米国自体が核兵器の大幅な増大に積極的にかかわってきているからだ。
核拡散防止団体「プラウシェアズ・ファンド」のトム・コリナー氏は先頃、「フォーリン・ポリシー」誌のオンライン版で、「2009年にプラハで行った演説で、オバマ大統領は(核兵器廃絶への)期待を高めたが、拡散防止への強力や取り組みや核兵器のない世界については言及をしていない」と指摘した。
「共和党やロシア、その他の妨害者をその理由に挙げることはできる。しかし、ある一点についてはオバマ氏自身が責められるべきである。それは、米国内の核兵器工場の維持・再建に1兆ドルを費やすという予算計画だ。専門家も指摘しているが、この計画はすでに新たな軍拡競争を引き起こしている」
今回の訪問については、世界中から注目が集まっており、ツイッターにはドイツ語やポルトガル語、イタリア語、ベトナム語などありとあらゆる言語でコメントがされている。その多くが、この訪問が核兵器のない世界への一歩となることを希望するものだ。
米国で浮上する安倍首相「真珠湾訪問」案
一方、米国内ではもう一つ、賛否両論が予想される案が浮上している。今回の広島訪問をきっかけに、オバマ大統領が自ら安倍首相をハワイの真珠湾へ招待するという案だ。現職の米国大統領が広島を訪問したことがないように、現職の日本首相が真珠湾を訪れ、献花したことはない。
真珠湾は1941年12月7日の日本軍の奇襲攻撃によって沈没した米海軍戦艦アリゾナが今も海中に眠っている場所だ。シンクタンク、ランド研究所アジア太平洋戦略センターのアソシエイト・ディレクター、スコット・ウォレン・ハロルド氏は、「70年前のあの運命の朝、祖国を守ろうとして死んでいった2403人の米国人に日本のリーダーが敬意を表す道筋をつけることは、米国大統領が広島を訪問することに対する正しい応答なのではないだろうか」とブログで記している。
しかし、ハーバード大のサモア氏はこうした提案を一蹴する。今回の訪問やスピーチが過去のものにこだわるのではなく、「将来についてのものでなければならいから」(サモア氏)だ。オバマ氏のよる歴史的な訪問は、日本人が思っている以上に米国や世界から注目と期待を集めているのである。
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