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オバマ大統領が広島に歴史的訪問を果たす準備はほぼ整ったようだ。米首都ワシントンと東京で今回の訪問計画に携わった米国の政府関係者の心の中には、5月27日にオバマ大統領と安倍晋三首相が平和記念碑の前に2人並んで立つ映像が浮かんでいることだろう。
米国が原爆投下を決定したことに対する謝罪は見送られる公算が大きい。そして、それについては日本政府関係者のみならず国民の多くが、原爆犠牲者に敬意を示してくれる「広島訪問」だけで十分だと考えているようだ。
広島訪問の影響を警戒する米政府
この歴史的瞬間のお膳立てはすべてが平穏に進んでいるように見えるが、実は米国側の戦略担当者たちはかつてないほどナーバスになっている。彼らは、太平洋戦争を始めた当事者である日本側からは何の言及もないことによって、今回の大統領による訪問が「原爆によって多数の犠牲者が生まれた」という日本側の物語が正当化されることを警戒しているのである。大統領自身が謝罪や戦争そのものへの言及を避けたとしても、米国内で巻き起こるであろう訪問の是非をめぐる議論について大統領も気をもんでいる。
今回、オバマ大統領は記念碑の前で、核兵器開発を続ける国々に対して核兵器の危険性や、核開発に対する自らの考えについて短時間スピーチするようだ。しかし、米政府関係者によると、今回オバマ大統領は、広島平和記念資料館などは訪問しない可能性が高い。
理由の一つは、資料館に展示されているもののほぼすべては、日本の原爆犠牲者に焦点が当てられており、資料館への訪問は米国内で語られている「原爆投下のきっかけとなったのは日本による攻撃」という考えを否定することになりかねないからだ。
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