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4月11日のケリー国務長官による歴史的な広島訪問は、日本国民のみならず、米国民にも驚きをもたらした。米国による広島と長崎への原爆投下は長らく、日米関係に暗い影を落としてきたからである。
そもそも、原爆投下に対する日米間の意識の違いはいまだに大きい。大多数の米国人は今でも、トルーマン元大統領による恐ろしい核兵器の使用は、戦争を終結し、多くの人の命を救うのに必要だったと今も信じている。核爆弾による想像を絶する殺りくは、軍事的にも道徳的にも正しかったと確信しているのである。
日本人の見解はこれとはまったく異なる。日本政府による統治権回復後、それまでタブーだった原爆問題は、日本で盛んに議論されてきた。日本人にとって、原爆や、被爆した広島と長崎で毎夏開かれる平和記念式典は、戦争の恐ろしさと参戦という悲惨な過ちを振り返る重要な行事となっている。
オバマ大統領が広島を目指す二つの理由
こうした中、米大統領による広島や長崎への訪問は、これまで70年以上政治的に不可能だった。退役軍人やその家族に、米国のリーダーが原爆投下について謝罪する姿を見せるわけにはいかなかったからだ。
しかしここへきて、この歴史は終わりを迎えようとしている。ケリー国務長官による広島訪問は、オバマ大統領訪問への道筋を開いた。ホワイトハウスは今のところ、G7外相会合期間中の米大統領の訪問について何も発表していないが、機は熟していると言える。
「オバマ大統領は以前からずっと訪問を考えていた。今それが、かつてないほど現実味を帯びている」と、ジョン・ルース前駐日米大使は話す。オバマ政権下、初の駐日大使として日本にやってきたルース氏は、2009年秋に米国使節として初めて広島を訪れている。
「核兵器撲滅という目標を果たす上で、広島以上にその議論に適した場所はない。また、大統領は歴史に敬意を払うことに全力を尽くしている。広島を訪問すれば、第二次世界大戦のすべての被害者に対する強い敬意を示すことができる」とルース前大使は話す。
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