首都ワシントンで影響力を持つニュースレター「ネルソン・リポート」の著者、クリス・ネルソン氏も、大統領による訪問は実現する見込みが高いと見る。
「政府高官たちはまだ正式なコメントを避けているが、この2~3週間私たちがヒアリングを行ったところ、ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)を含めた多くの政府関係者が、訪問を支持しているとわかった。大統領の世界的な核兵器廃絶キャンペーンと大変うまく絡み合うからだ」(ネルソン氏)。
和解のときを迎えている
ネルソン氏によると、ワシントンの政府関係者の多くが、今回のケリー国務長官による訪問が、日本と米国でそれぞれどう受け止められたか見守っていたようだ。これについてテレビ朝日に質問されたケリー国務長官は、「人々がどのように感じようと、今現在私たちはお互いの友人であり、同盟国だ。(ここまで)目覚ましい和解の道を進んできたのだ」と答えた。このインタビューを見たネルソン氏は、「明らかに、圧倒的大多数の人が和解のときを迎えたと考えている」との見解を示した。
ただし同氏は、「ワシントンのすべての人が訪問を支持しているわけではない」とも指摘する。「特に従軍慰安婦など戦時中の問題に深く関わっていたり、安倍晋三首相の戦史への認識に疑問を持っている米国の議員たちは強く反発している」からだ。
米上院外交委員会で主任を務めるある人物も、「オバマ大統領による広島訪問は今のところ議会で議論の的にはなっていないが、これが政治的な問題であることに変わりはない。米軍関係者や第二次世界大戦時の捕虜、行方不明者やその家族、在米韓国系・中華系コミュニティによる反対もいまだ根強い」と話す。
「昨年末に慰安婦問題で日韓が合意に達してからも、こうした人々の反発が収まる様子はない。それどころか、歴史修正主義者とも言える安倍首相に連れ添われて大統領が広島を訪問するのは行き過ぎという見方さえある。もし大統領が広島を訪問することになれば、こうした人々の主張が注目を浴びることになるだろう」。
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