竹中平蔵(上)「リーダーに必要な3つの資質」 世界のリーダーと日本のリーダーの違い
学校で学ぶ知識は、社会や経済に対する洞察力を養う若干の助けにはなる。しかし、受験のために、テストで1点、2点を争うようなことをしていても、意味は乏しい。本当のリーダーは、自分で腹を決めて、決意と計画を持っていなければならない。その意味で、受験勉強というのは、むしろ邪魔になることのほうが多いのかもしれない。
そもそも、受験勉強はリーダーシップの養成にはつながらない。なぜなら、世の中の問題のほとんどは解けない問題だからだ。リーダーは、答えがないものに答えを出さなければならない。それに対して、受験勉強は、答えがあるものに答えを出すものなので、準備さえすれば、誰でもできる。受験は記憶力のテストなので、記憶力に自信がある人にとっては、すごく簡単だ。
東大、慶応を出ても大したことはない
日本では、多くの人が受験勉強でヘトヘトになってしまう。だが、東大を出ても、慶応を出ても、大したことはない。実際、いい大学を出ても役に立たない人材が、霞が関や大手町や丸の内にゴロゴロいる。
世界に目を向ければ、日本の大学で世界トップ100に入るのは、せいぜい4つぐらいだ。東京大学といっても、世界では「東京にある大学だね」というぐらいの反応しかない。だから、東大、慶応に行くのはいいが、それを絶対に目的にしてはいけない。
日本の受験はあくまで通過点なのだから、学部でも、大学院でもいいので、海外で世界に通用する大学教育を受けてほしい。そして、世界の厳しい競争の中で勝って、堂々と自立してほしい。自立するということは、つまり、稼ぐということだ。
それに加えて、世界のすばらしい文化を楽しんで生きてほしい。家族を大切にして、家族と一緒にニューヨークのミュージカルを見たり、パリでオペラを聴いたりする。そうした生活を送れば、人生はすばらしいと感じられるはずだ。