グーグルの新チャットアプリは何が凄いのか 人工知能が解析し、返信候補文を自動生成!

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まず食事の予約をしたい場合。イタリアンレストランで夕食を取ることになれば、周囲のイタリアンレストランの情報をチャット内に呼び出すことが可能だ。店を選んで時間を決めると、そのままレストラン予約サイト「OpenTable」を使って予約を完了できる。これまでであれば、一度チャットアプリからブラウザ、あるいは「Yelp」や「食べログ」などのアプリを起動して、レストラン検索をするところだ。こうした動作を、チャットの画面を開いたままで済ませられるのだ。この操作性の違いは非常に大きい体験の違いとなる。

また、チャット中に「猫の画像を貼りたい」とグーグル・アシスタントに探してもらい、それを選んで送ることもできる。飛行機の時間や遅延状況を調べるのもチャットでできてしまう。将来的にはUberを予約して待ち合わせ場所まで行けるようになるだろう。

人工知能が当たり前の世界へ

アロは、「モバイルの世界でのキラーアプリ」がチャットであることをグーグルが理解した上で、グーグルの強みである検索と人工知能を、日常生活の中で自然かつ身近に使えるようにしたアプリ、と位置づけられる。

グーグルは、今回のGoogle I/O 16で、「グーグル・アシスタント」というブランドで、人工知能を生活に生かすプラットホームを披露した。その上で、グーグル・ホームとアロを、活用事例としてリリースしたのである。

この2つの製品は、人工知能を活用する上での非常にいいトレーニングになるかも知れない。

グーグル・ホームも未来的だ。画面がなく、完全に声のみで、検索して情報を引き出したり、レストランの予約を取ったりする仕組みだ。これまでのコンピュータの操作で用いてきた「視覚」を使わないという、非常に大きな断絶が存在している。すなわち、いきなり声の対話だけで機械を操作するのはハードルが高い、ということだ。

一方アロは、既存のAndroidスマートフォンもしくはiPhoneで、文字を使ってチャットをする中で、グーグル・アシスタントの人工知能を利用することになる。チャットはもともと吹き出しが流れていく対話型であり、グーグル・アシスタントが何をしてくれるか、どのように対話すれば目的が達成できるかを、ユーザーが「意識することなく」学ぶことができるだろう。

対話型でコンピュータを使うことに慣れると、ディスプレーへの依存を減らすことができ、ウエアラブルデバイスやグーグル・ホームのような音声専用のデバイスが、より活用されるだろう。アロはグーグルが描く未来への第一歩なのかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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