日本が世界一の「研究捏造大国」になった根因 「カネ取れなければダメ」が不正生み出す

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──視界を世界に広げれば、希代の「論文泥棒」は米国人のエリアス・アルサブチ氏ですか。

東京大学医科学研究所が被害を受けたときの助教授だったのでよく覚えている。医科研の英文ジャーナルに盗作論文が掲載されてしまった。こんなことをしてもしょうがないと思ったのだが、すぐにバレるようなことを平気でやる。病的な人もけっこういる。不正をやっているうちに自分を信じきってしまうのだろう。

論文の審査も粗末になってきているのかもしれない

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──ジャーナルの審査は確かなのですか。

ノバルティスでの論文が通ったのを見ても、だいぶお粗末になってきているのかもしれない。研究は、英文論文として一流のジャーナルに発表することで一応完結する。今や、ネットのジャーナルもいっぱい出てきて、これもいいかげんなものが少なくない。投稿料目的でやっているものもある。

──ところで、岐阜大学の「落下傘学長」をされました。

法人化前の3年から法人化後4年までの7年間だ。工学部長と病院長が対立して、皆嫌気が差し、第3の候補者として指名された。当初から知っている教授は4人しかいなかった。中堅規模の大学だけにずいぶん改革ができた。法人化して大学の定員がなくなり、予算をどう使うかは大学次第。給与をポイント制にして、工学部には4000点とかを配付した。東大はじめほかの大学も取り入れるようになったが、このポイント制給与は小生が始めたものだ。

大学施設の他大学への貸与や、さらには入試過去問題活用宣言をして、ほかの大学の過去問を使う入試も始めた。職員組合から「思いつき学長」と揶揄されたが、予算や、参加するプログラムをきちんと取ってくる。いろいろ経験した。

──研究不正は犯罪ではない?

重大な研究不正の底辺には不注意なもの、軽微の不適切な研究行為などがいっぱいあって、そうしているうちに改ざんなどに手を染めてしまうのだろう。研究不正は犯罪ではない。倫理規範違反。ただし、おカネが絡むと返還が問題になる。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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