2013年の日本経済は「普通の不況」に
衆議院が解散された11月16日の午前中、内閣府は慌ただしく駆け込むかのように11月の月例経済報告を発表した 。それはそうだ。解散したら最後、閣僚のセンセイ方はみんな一目散に選挙区に散ってしまうものね。
この日に発表された11月の基調判断は、「景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている」であった。前月は「このところ弱めの動きとなっている」とあったのを、微妙に変えてきた。毎度のことながら、月例文学の筆遣いの奥深さを味わいたいところである。
これで基調判断は4か月連続の下げとなった。つまり景況感が急速に悪化しているということだ。11月12日に発表された7-9月期GDP速報値は、年率3.5%のマイナス成長だった 。おそらく足元の10-12月期も、同じくらいの体感温度であろう。2012年の上半期は、震災復興需要も手伝って予想以上に堅調な景気拡大が続いたが、下半期は急速に冷え込んでいる。2013年の日本経済は少々、身構えて迎える必要がありそうだ。
そもそも近年の日本経済は、奇数年ごとに試練を迎えている。2009年はリーマンショックによる需要の急減で、文字通り地面に叩きつけられるような衝撃であった。2011年は東日本大震災で、地震と津波と原発災害のトリプルショックに身も凍る思いをした。それに比べれば、2013年はごく普通の不況ということになるだろう。
不況の原因ははっきりしていて、世界経済の急速な減速と、日中関係悪化による外需の冷え込みだ。特に中国向けの自動車輸出など、10月は前年比82%減となっている。まさにチャイナショックである。
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