その中で初期の段階でEOさんたちに、「もっとこうしたほうがいい」というような質問や提案をチーム全員の前で言われたがゆえに、警戒心を抱いてしまったのかもしれません。リーダーとして自分を尊敬せず、認めないやつがいると。しかもそれは上司が自分自身のスタイルを模索している最中での出来事だったのかもしれません。
一度ガードを上げてしまうと警戒心から話も聞きたくないという極端な方向に流れる人は実際います。もしかしたら今回のケースもそうだったのかもしれません。だから、その後、打ち合わせの事前に相談と言っても、またどうせ上司である自分のやり方を否定して、自分(EOさん)の都合のいい方向に持っていこうとするのだろう、というような疑心暗鬼を抱かせてしまった可能性があります。
あくまでも憶測にすぎませんが、相手のインセンティブや価値観を理解したうえでコミュニケーションを図ることが可能であったならば、このような事態は防げたかもしれません。
全員の前で欠点を指摘してはダメ
本来は立場は逆なのですが、上司が経験不足であるという事実、会社からは上司たるポジションに任命されたがゆえに、本人もそのプレッシャーとプライドの狭間で若干不安定になっていることを初期の段階で想像できていれば、全員の前で欠点を指摘しなかったと思います。1対1のときに提案をしてみるとか、はたまた上司のさらに上の方から話を下してもらうとか、いろいろ方法はあったのかもしれません。
いずれにしても今回のケースしかり、何かを自分にとって有利な方向で達成したい場合のコミュニケーションにおいて大切なのは、自分の価値観や認識が相手のそれらとイコールであるという前提で話を進めるのではなく、相手のインセンティブや価値観を見極めたうえで話のトーンや順番、やり方を考えるということです。
たとえば有能なコンサルタントは、インタビューの前に対象者の経歴や社内での評判、性格をできるかぎり把握したうえでインタビューに臨みます。相手にとって心地よい方法やトーンで聞き出すほうが、自分の目的を達成する近道だからです。
その応用で、「上司を動かすリーダーシップ」を発揮しうるコミュニケーションの取り方を、EOさんも学ばれてはいかがでしょうか。コミュニケーションの方法ひとつで結果は大きく変わるものです。面倒だと思われるかもしれませんが、コミュニケーションこそが人間関係の潤滑油であり、工夫のしがいもあるというものです。
EOさんが過去の失敗を糧に、大きく成長されることを応援しております。
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