これは、「頼りない上司とどう付き合えばいいのか」というご質問だと思います。実は私自身も20代の前半までは頼りない上司の下でしか働いたことがありません。しかし上司が頼りなかったからこそ、個人としては成長できたということも事実だったと思います。
さて、一般的に上司というと、何でもかんでもわかっており、仕事面でも人間的にも自分よりも優れている人という幻想を、とりわけ若い方は抱きがちですが、決してそんなことはありません。
「人間的に尊敬できる=いい上司」ではない
もちろんすばらしい上司が世の中に存在することも確かですが、やはり頼りない、人間的に尊敬できないなど、ネガティブな感情を持たざるをえない上司が存在することも事実です。そしてある人にとっていい上司だからといって、ほかの人にとってもいい上司というわけではありません。あくまでも個々人の人間関係や価値観、インセンティブ(動機づけ)に基づき、いい悪いが決まるものです。
EOさんの場合は、上司はしっかりとチームの管理やメンバーの育成にいそしむべきだ、という考えがあり、なおかつ上司のきちんとした指導の下で仕事上の成長を図りたいという価値観なりインセンティブをお持ちのようです。しかしながら、その価値観と実際の上司の行動や思考が異なったため、ストレスが生じたということでしょう。
つまりここでのポイントは、価値観やインセンティブの相違です。ここがズレていると、お互いがお互いに求めているものや、自分の立場に対する認識というそもそもの前提がズレているということですから、話や思考がかみ合うはずもありません。
上から言われたことを下に伝達したり、ハンコを押すのが中間管理職の仕事で、意思決定や方向を示すのは自分の仕事ではないという前提の下で働いている中間管理職と、もっと指導を期待する部下では、当然、矢印が同じ方向を向くわけがないのです。
ではそのような状況にどう対応するべきか。まずは「100%互いの価値観を合わせることは不可能」ということを前提にする必要があります。そのため、歩み寄れるところ、歩み寄るべきところとそうでないところを見極めましょう。
そこで必要なのが、効率的なコミュニケーションの方法を探るべく相手を理解しようとする姿勢を持つことです。
いただいた文章を読むに、EOさんの上司は、正直、リーダーとしても営業マンとしても経験不足なのかもしれません。つまり彼は上からも下からも自分がどう見られるか不安であったはずです。しかしその一方で、おそらくですが、出世してきたということでそれなりにプライドの高い方のようにも見受けられます。
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