なぜ日本は「電子書籍の墓場」なのか(上) キンドルもまた墓場へ直行

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私は、電子化が進まない理由として次の7点を挙げる。

(1)電子書籍のタイトル数が少なすぎる

(2)電子書籍専用端末がまったく普及していない

(3)著作権処理が煩雑で手間がかかりすぎる

(4)出版社側に著作隣接権がない

(5)紙に比べ電子書籍の価格にお得感がない(価格決定権の問題)

(6)フォーマットが乱立し電子書店ごとに異なる

(7)流通を阻害している厳しいDRM規制がある

出版・新聞 絶望未来の中で、電子書籍が普及しない7つの理由を詳しく説明している。

これ以外にもまだいくつかの理由が挙げられるが、およそこの7点に、日本の電子出版が「今日もまたガラパゴス。明日もおそらくガラパゴス」であることが集約されると思う。

ただし、(1)(2)は原因ではなく、(3)から(7)が原因である。つまり、(3)から(7)の問題点が改善されれば、(1)と(2)はおのずから解消されていくものと考えていい。なぜ、それが言えるかというと、出版デジタル機構が、現在、壮大な実験をしてくれており、その経過を見れば明らかだからだ。

出版デジタル機構というのは、 講談社、集英社、小学館などの大手出版社や大日本印刷、凸版印刷などが中心になり、アマゾンの上陸に対抗すべく、2012年の4月2日に発足した株式会社である。この会社は、政府が出資する産業革新機構から150億円の出資を受けて、書籍のデジタル化を推進することを事業目的としている。

当初、デジタル化の目標は「100万点」と発表された。

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