ガス事業展開へ頼りにされる日本の資金力 米国シェール革命と日本《5》

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中期的にはリスクを補って余りある利益

ただ、日本企業が施設を運営してガスを輸入できるという態勢は、リスクはあったとしても、中期的にはそれを補って余りある利益が得られる。自ら権益を持つことで、初めて価格をコントロールできるようになるからだ。すべてが人任せでは、高値を付けられても文句は言えない。

――地下水汚染や小規模地震の併発など環境面でのリスクも言われています。

地域ごとに反対運動に温度差はあるが、少なからず影響があることは間違いなく、投資上のリスクとして避けては通れない。米国という社会は、そうした問題に極めて敏感に反応する。開発の許認可で最大のハードルになっているのが、地元の反対運動であるのは事実だ。油ガス田の多いテキサス州やルイジアナ州などの地元紙には、比較的そうした報道も多い。オバマ民主党政権は環境保護団体とのつながりが深いだけに、世論の動向によっては政策的な規制強化の可能性も否定できない。

ただ現在、できるだけ有害ではない物質を使った採掘方法が大学などで研究されており、商業化されるころには状況が変わっている可能性はある。

――これから投資や調達に動こうとしている日本企業に対するメッセージは。

米国やカナダは法的、会計的に安定しており、純粋な投資としては極めて魅力的な投資先といえる。すでにFTA国への輸出は認可されていることは安心材料だ。ただ、日本への輸入という点ではなお許認可でリスクが残るため、他からの調達など十分に慎重な対応が求められる。

(撮影:大澤 誠)


 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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