若い女性がいない!韓国「地方消滅」の実態 全262自治体のうち80自治体が消滅リスク
これらの都市には、大規模マンションがある、女性を雇用できる大企業が新たに進出した、などの共通点が見られる。同期間で若い女性の減少率が最も高かったのは、全羅南道高興郡で45.1%減少した。慶尚北道軍威郡で45%、同青松郡44.4%なども若い女性がほぼ半減している。
目を引くのは釜山市影島(ヨント)区だ。この地域は、この10年間で若い女性の人口が44%減少した。前出のイ・サンホ博士は、「若い女性の割合が危険レベルではないが、減少スピードが速い地域のうち、一部の大都市で伝統的な製造業が集積している地域がある。産業団地の整備が遅れていることと企業の撤退が進んでいることで、若い女性を地域から離れさせている主な理由になりうる」と説明する。
若い女性が集中して多い所は?
さらに注目すべき点が一つある。それは、若い女性がすでに多い所と、新たに押し寄せている所が違う、ということだ。若い女性が集中して多い所は、主にソウルとソウル首都圏の一部だ。非首都圏では、大都市圏のベッドタウンや教育水準が高い所、サービス業の中心地などだ。
対照的に、若い女性が押し寄せている場所は、新都市(ニュータウン)が建設されている首都圏地域と、地方の広域市近郊にある都市が多い。京畿道華城市、忠清南道世宗市、全羅南道務安(ムアン)郡がその代表例だ。務安郡は全羅南道道庁が移転してきて、若い女性が急増した。一方で、女性人口がもともと多い首都圏では、出産率が相対的に低い。反面、世宗市や務安郡などは出産率が高いほうだ。ここに重要なメッセージがある。
イ・サンホ博士は「地方から首都圏へブラックホールに入ったかのように若い層が吸収されているが、大都市の高い生活費と雇用競争などで出産が負担になっている。若い女性が集まってくるような魅力的な都市を開発する政策が必要であり、既存の都市計画などの政策においてパラダイムの転換が必要だ」と指摘する。
イ博士は「若い女性が生活を楽しめる文化とレジャー施設、結婚しても生活しやすい住居環境、子育てによい教育環境などを提供するなど、こういった方向に政策を実施するべきだ。何よりも、若い女性が地域に定着できる魅力的な雇用を提供するのが重要だ」と強調する。若者全体を対象にした曖昧模糊とした政策よりは、20~39歳の女性に集中した政策がより効果的でありうるのだろう。
(韓国『中央日報エコノミスト』2016年5月9日号)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら