若い女性がいない!韓国「地方消滅」の実態 全262自治体のうち80自治体が消滅リスク
本誌が韓国雇用情報院のイ・サンホ博士とともに全国262の市・郡・区のうち、人口のない江原道鉄原(チョロン)郡近東(クンドン)面と京畿道坡州(パジュ)市津西(チンソ)面などを除く252カ所の人口を調査した結果、30年後に人口がなくなるリスクが高い自治体が80カ所に達した。昨年話題になった本『地方消滅-東京一極集中が招く人口急減』の分析方式を採用して得た結果だ。
日本でかつて総務相を務めた増田寛也氏が書いた同書は、日本の自治体の49.8%となる896カ所が2040年には消えると予測し、日本国内で衝撃を与えた。増田氏は地方が消滅する可能性を推定する指標として、20~39歳の女性人口に注目した。妊娠可能な女性の90%以上がこの年齢層に属する。20~39歳の女性人口の比重が小さい地域であればあるほど、長期的に人口が消滅する可能性が高まるということだ。
本誌は、韓国・行政自治省が運営する「住民登録人口統計」を見て、2015年12月末現在の全国自治体の人口現況を調査した。地域別に、居住する人口全体における20~39歳女性の人口と、65歳以上の高齢者人口の割合を分析した。
消滅する可能性が高い自治体は、20~39歳女性が占める割合が10%に満たず、高齢者人口は20%を超える相対比重(20~39歳女性人口の割合÷高齢者人口の割合)が0.5未満の場所と設定した。イ博士は「若い女性と高齢者人口の相対費が1対1であれば、人口が維持される最小限の防衛ライン。相対費が0.5未満であれば、人口が消滅する可能性がとても高いことを意味する」と説明する。これは、学会でも認められた理論だ。
子どもを産む若い女性の人口が急減
調査の結果を見ていこう。
韓国内の252自治体のうち65歳以上の高齢者人口の割合が7%以上である自治体は249あった。国際連合(国連)は、65歳以上の人口が7%以上であれば「高齢化社会」、14%以上であれば「高齢社会」、20%以上であれば「超高齢社会」と定義している。韓国の自治体のうち99%がすでに高齢化社会以上であるのが現状だ。高齢者人口の割合が7~14%の高齢化社会になっている自治体は112カ所(44.4%)、14%を超える高齢社会は51カ所に上る。65歳以上の人口がすでに20%を超えている超高齢社会も74カ所(29.4%)あった。30%を超えるスーパー超高齢社会も25カ所(9.9%)存在する。
高齢者人口の割合が最も大きかったのは、全羅南道高興郡だ。2015年末現在の居住人口6万8143のうち、36.7%(2万5017人)が65歳以上だ。その下には、慶尚北道義城郡の36.2%、同軍威郡35.4%、慶尚南道陜川郡35.4%、同南海(ナメ)郡34.1%、全羅南道寶城郡33.5%が続く。反対に、65歳以上が占める割合が最も低かったのは、慶尚南道昌原市城山(ソンサン)区で5.4%に過ぎなかった。
京畿道水原(スウォン)市霊通(ヨントン)区(5.4%)と蔚山(ウルサン)市北区(6.4%)、大田市(テジョン)儒城(ユソン)区(7.2%)、慶尚北道亀尾(クミ)市(同)、天安(チョナン)市西北区(7.4%)なども、相対的に若い層が多い自治体である。これらの自治体には大企業の工場がある、あるいは工業団地や産業団地などが設置されている、という共通点がある。