任天堂が新型ゲーム機「NX」に懸ける本気 来3月発売!WiiU失敗の教訓は生かせるか  

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苦戦した理由は、WiiUのゲームパッドを生かした面白いゲームが出てこなかったことに加え、発売当初から人気タイトルをそろえられず、息切れしたことが大きい。WiiUは発売直前にソフトが正常に起動しなくなるというアクシデントも発生し、多くの人員をトラブル対応に振り向けた経緯がある。その中には、「ソフト開発の人員も含まれていたため、その後の開発計画に遅れが生じてしまったようだ」(関係者)。

そのためNXでは、ソフトの品ぞろえのみならず、ハードにもWiiUの反省が生かされている。「採算割れで出すという考え方はしていない」(君島社長)と言うように、WiiU発売時は為替が円高になったこともあり、コスト割れで販売していた。同じ轍をNXでは踏まぬよう、ハード、ソフトともに、万全の体制で臨むことになる。

その意味で、まさに転換期となる2017年3月期は、業績の低空飛行が続く。売上高は前期比0.9%減の5000億円、営業益は同36.9%増の450億円を見込む。WiiUの販売激減と3DSが続落する一方、期末にNXが貢献するためだ。ただし、2009年3月期に叩き出した過去最高営業益5552億円に比べれば、水準はまだまだ低い。

さらにスマートフォン(スマホ)ゲームの新作として、「ファイアーエムブレム」「どうぶつの森」シリーズを秋にリリース予定、となっている。これらの課金収入に加え、年末には3DS向け大型タイトル「ポケットモンスター」の新作を投入する。好採算なソフト分野の収益が拡大することで、売上高は横ばいでも利益率は改善する見通しである。

新規のスマホゲームに見る潜在力

任天堂は保有する米大リーグ球団・シアトルマリナーズの運営会社について、一部持ち分売却の交渉を開始したと発表した(写真:共同)

3月17日に配信された初のスマホゲーム「Miitomo(ミートモ)」は、全世界でユーザー数が1000万人を突破した。2016年3月末のスマホゲーム関連の売上高は約57億円となっているが、これは国内の2週間分だけの売上高。その後のアプリ売上高のランキングを見る限り、課金収入が伸びているようには見えないものの、1000万人を抱える潜在力は大きく、任天堂のブランド力の強さが見て取れる。

「アプリは1日にサービスを利用するユーザー数と継続率が重要で、これが上がれば課金収入も変わってくる」(君島社長)。人気タイトルを用いたスマホゲームがヒットすれば、大化けする可能性も考えられるだろう。

スマホゲームのリリースに続き、新型ゲーム機の発売時期も明らかにした任天堂。2018年3月期に向けて飛躍できるのか、復活に向けた正念場の闘いは続く。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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