有馬:安倍首相は、今回の参議院選挙で勝って憲法改正を実現するために、お年寄りへの3万円の給付金など、できるものはすべてぶち込むという姿勢ですね。3年後の参議院選挙など考えていないように見えます。共産党が打ち出した野党共闘は、安倍政権に歯止めをかけるための戦略だと思いますが、具体的にはどのようにするのですか?衆参同日選はいったん遠のいたようですが、衆議院と参議院などでは違いがあるのでしょうか。
小池:共産党が全国レベルで選挙協力をするのは今回が初めてです。今までは地域限定では経験があり、2013年には「オール沖縄」で行い、小選挙区では全勝しました。今回は昨年9月に安保法制が強行採決された直後から、若者たちなどから「野党共闘をしてほしい」という強い要請があり、国民の声を肌で感じました。こうした声に、政党の壁を乗り越えて答えるのが政治の責任ではないかと考えました。
参議院一人区優先で野党協力、難しい衆議院
では、具体的にどんな形で野党協力を行うのか。まず参議院から説明します。参議院は一人区、複数区、いわゆる比例分がありますが、まず一人区ではすでに半分をこえる選挙区で野党統一候補が実現し、共産党は候補者をおろしました。野党統一候補と自公候補の一騎打ちの構図が、かなり明確になります。
一方、自公を過半数割れに追い込むという意味では変わりませんが、複数区では野党同士でも競います。これは比例でも同じです。
一人区で立候補を取り下げていただいた候補者には、原則比例代表に回っていただいています。また共産党候補を野党統一候補にすることも、追求していきたいと思います。
衆議院の小選挙区(475名のうち、295名)では、もし候補者を降ろしてしまうと、政見放送などができなくなりますので、参議院のようなわけにはいきません。例えば比例での得票の比率を基準にして、お互いに候補者をたてて協力し合うなどの方法はどうかと、他党に提案しています。
ただ現在、衆議院での選挙協力に関しては民進党と協議にも入れていません。その理由を、民進党は「すでに候補者を立てているので今さら降ろせないから」としていますが、それは共産党も同じで、理由にはならない。党首合意でも「国政選挙で協力する」としており、衆議院は除くとはしていません。
有馬:2009年に民主党が政権を取った時も、小沢一郎さん(現生活の党と山本太郎となかまたち共同代表)などが呼びかけて、社民党や国民新党などが「反自民」で結集しましたが、その後はバラバラになって行きました。共産党はあの時は、政権与党から距離を置いていましたが、あのときと、今回の共産党の動きは違うのですか。
小池:決定的な違いは、今回は永田町からではなく、国民から「安倍政権を倒してほしい」との声に応えて出てきた動きだということです。言い過ぎかもしれませんが、市民革命的と言ってもいいくらいで、日本政治史上画期的なことです。2009年に民主党が政権を取った時、共産党が協力しなかったのは、あのときの民主党政権が自民党政権と本質的に同じ問題を抱えているという認識だったからです。
しかし、今回は違う。共産党では「国民連合政府」を提案していますが、立憲主義を取り戻すためには、自民党に代わる政権が必要です。民進党との違いは依然ありますが、まず脇に置いてでも、選挙協力を進めようということです。大義の旗はしっかり立っています。自民党など与党から「野合批判」がありますが、自民党に言われたくありません。自公連立のように、ただ勝つためにやっているのではない。立憲主義、平和主義、民主主義、憲法の基本を守るのに力を合わせようというのですから、これ以上の大義はありません。
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