熊本地震「善意を潰す不謹慎狩り」は大問題だ

無自覚な"ネット自警団"が日本をダメにする

寄付する顧客側も企業側も、どちらにとっても利がある上、被災地支援にお金が届くのであれば、批判される筋のものではない。

そもそも、ツイッターは災害の中で伸びてきた側面がある。ツイッターのアカウント取得者は、5年前の東日本大震災時に大きく伸びたからだ。

多様な情報を取り込み、自らも何らかの情報を発信したいと考える人が増えたからだろう。世の中は多様だ。数多くの視点や考え方がある。常識とは、そうした多様性の中にあって、自然に淘汰・選別されて残った行動規範のことを言うのかもしれない。

あなたも意図せず他人を攻撃しているかもしれない

逆説的ではあるが、インターネットを中心にSNSを通じて生まれるコミュニティの中では、あらゆる多様な意見が直接的に交換されることで、本来は淘汰される声までもが強く届いてしまうのは宿命なのかもしれない。

このようなとき、気をつけるべきことは、発言や情報の背景をきちんと把握することだ。現実社会においては、言葉の断片だけが評価されることはほとんどない。その言葉が使われた時と場所、発言者の背景や考え方、これまでの行動などの”コンテキスト”を把握した上で言葉を解している。

ツイッターのようなシンプルで短い言葉の交換は、利点となる場合もある反面、その言葉の裏側にあるはずのコンテキストを失わせてしまう。情報の断片だけでは誤解を生むのは当然だ。また、誤解をしている人間の発言が、新たなる誤解を生み出すことは想像に難くない。

不謹慎自警団は、こうした相互理解不足の連鎖がもたらすものだと筆者は思う。問題は”不謹慎”や”自粛”だけではない。発言の背景を知らず、想像力だけで物ごとを捉え、必要のない怒りや使命感を感じてしまうこともあるかもしれない。そんなとき、自分自身が何らかのネット自警団員にならないようにしたいものだ。

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