熊本地震「善意を潰す不謹慎狩り」は大問題だ 無自覚な"ネット自警団"が日本をダメにする
言うまでもないことだが、被災していない地域の人間が、いくら熊本を想いながら自粛をしたとしても、まったく何の貢献もしない。それどころか、自粛ムードを拡げるのは日本全体の経済活動を萎縮させる行為といえる。これは、復興を邪魔する雑音でしかない。
こうしたことを書くと、「当たり前のことを今さら記事にするのか」と感じるかもしれない。まったくその通りだ。不謹慎だと指摘しまくり、自粛を促すことの無意味さは、過去に何度も経験してきた。これについて、今さら語る必要などないと考えているほどだ。
しかし、それでも不謹慎自警団はなくならない。むしろ、その"活動"はテレビや新聞、ウェブなどを通じた報道により増幅されるようにさえなっている。
井上晴美さんを襲った不条理
熊本在住のタレントで今回の地震における被災者でもある井上晴美さんは、被災地の情報を知ってもらおうと情報発信していた。彼女自身、家を失い、夫や二人の子どもと避難生活を強いられる中、現場の情報を発信しようと必死だったのだ。ところが、そんな彼女に追い打ちをかけるように批判を浴びせる人物も少なくなかったようだ。傷付く彼女はブログを通じた情報発信をやめると宣言した。
タレントの紗栄子さんは、ふたりの子どもが出した2000円に500万円を添え、500万2千円を寄付したことを額面を示す写真付きで公表したところ、やはりツイッター上で多くの罵詈雑言を受けることになった。ブログで応援メッセージを発表した藤原紀香さんも同様である。いったい彼女たちの何がいけなかったというのだろうか。
筆者には批判の理由がまったく想像できないし、批判に妥当性があるとも思えない。あるいは、災害に乗じた売名行為に対して”不謹慎”と述べているのかもしれないが、著名人が積極的に支援の姿勢を見せることで、支援の輪が拡がる可能性もあるはずだ。
匿名で被災地に乗り込み、顔を隠しながら炊き出しを行うなど、身分を隠さなければ支援すべきではない、とでも言うのだろうか。
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